3 非線型連立方程式の解(多元の場合)

前章では、2元の非線型連立方程式のニュートン法での計算方法を示した。こ こでは、それを一般化する。ここで示す方法は、複素数解にも適用できる。

N元の非線型連立方程式は、

\begin{equation*}\left\{ \begin{aligned}&f_1(x_1+x_2+x_3+\cdots+x_N)=0\\ &f_2(x_...
...0mm}\vdots\\ &f_N(x_1+x_2+x_3+\cdots+x_N)=0 \end{aligned} \right.\end{equation*}

と書くことができる。未知数は、

$\displaystyle \boldsymbol{X}=(x_1,x_2,x_3,\cdots+x_N)$ (12)

とベクトルで表現する。すると、$ i$番目の方程式は、 $ f_i(\boldsymbol{X})$と書き表 されるので、表現が簡単になる。これを、先ほどと同じようにテイラー展開す ると

$\displaystyle f_i(\boldsymbol{X}+\Delta\boldsymbol{X})= f_i(\boldsymbol{X})+ \f...
... \cdots \frac{\partial f_i}{\partial x_N}\Delta x_N+ O(\Delta \boldsymbol{X}^2)$ (13)

となる。 $ i=1,2,3,\cdots,N$の全てににおいて、 $ f_i(\boldsymbol{X}+\Delta\boldsymbol{X})=0$になるように、 $ \Delta\boldsymbol{X}=(\Delta x_1,
\Delta x_2, \Delta x_3,\cdots ,\Delta x_N)$を選ぶ。そのように選ぶため には、2次以降の高次の項を無視すると

$\displaystyle \begin{pmatrix}\frac{\partial f_1}{\partial x_1} & \frac{\partial...
...bol{X}) \\ -f_3(\boldsymbol{X}) \\ \ldots \\ -f_N(\boldsymbol{X}) \end{pmatrix}$ (14)

の線形であるN元1次連立方程式が成り立つ。これを解いて、 $ \Delta\boldsymbol{X}=(\Delta x_1,
\Delta x_2, \Delta x_3,\cdots ,\Delta x_N)$を求める。そうすると、より 真の解に近い $ \boldsymbol{X}^{new}$は、 $ \boldsymbol{X}^{new}=\boldsymbol{X}^{old}+\Delta
\boldsymbol{X}$と計算できる。しつこいようであるが、成分で書き表すと

\begin{equation*}\left\{ \begin{aligned}x_1^{new}&=x_1^{old}+\Delta x_1 \\ x_2^{...
...\ &\vdots\\ x_N^{new}&=x_N^{old}+\Delta x_N \end{aligned} \right.\end{equation*}

となる

非線型の連立方程式を線形の連立方程式で計算しているわけである。解きやす い式になった分、反復計算が必要となっている。



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年9月13日


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