1 はじめに

以前、常微分方程式の数値計算について学習した。独立変数が1個のものを常微分方程式、 2個以上のものを偏微分方程式と言うのは数学の授業で学んだとおりである。実際、自然 現象は常微分方程式よりも、偏微分方程式で記述されることが多い。常微分方程式が役に 立たないと言っているのではなく、より広範囲には偏微分方程式が使われているというこ とである。自然界が、$ (x, y, z)$の3次元と時間$ t$を合わせた4次元で成り立っているた めである。

ここでは、偏微分方程式、特にラプラス方程式を差分法というテクニックで数 値計算する方法を学習する。偏微分方程式は、いろいろなものがあるが、最初 に学習する分には、意味がわかりやすい方程式と言うことで、これを教 材に選んだ。実際には、図1の静電磁場や、図 2の熱の問題に、この方程式は表れる。

これらは、物理的には異なる問題であるが、ポテンシャルや温度が満たす方程式は同じで ある。方程式が同じならば解は同じで、同じ計算手法が使えることを理解して欲しい。こ れらが満たすのはラプラス方程式

$\displaystyle \nabla^2 \phi = 0$ (1)

と言われるものである。$ (x, y, z)$の3変数の偏微分方程式である。ここでは、 3次元の問題は大変なので、図12のように紙 面の方向($ z$方向)には一様とする。そのため、$ z$方向の微分はゼロとなるので、ラプラ ス方程式は、

$\displaystyle \frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}+ \frac{\partial^2 \phi}{\partial y^2}=0$ (2)

と2次元問題になる。ここではこの偏微分方程式の近似解を数値計算により求めるのが目 的である。ここでの学習を通して、プログラムが完成すると、図3のよ うな解のグラフを求めることができる。

図 1: ポテンシャルを求める問題。
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.8]{figure/potential.eps}
図 2: 温度を求める問題。
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.8]{figure/temperature.eps}
図 3: 差分法により計算された、ポテンシャルや温度のグラフ。
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/solution.eps}



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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年2月8日


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