5 進行波の取り扱い

先の練習問題、弦を三角形に張った後の様子は、定在波である。ここでは、進行波の記述 方法について、コメントしておく。進行波を数値計算すると面白いのでその方法を示す。 進行波を記述するためには、初期条件さえ記述すれば、後の差分方程式は同じである。そ の初期条件の記述の仕方を示す。

元の波動方程式

$\displaystyle \frac{\partial^2 u}{\partial x^2}= \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2 u}{\partial t^2}$ (20)

には、明らかに、ダランベールの解

$\displaystyle u(x,t)=f(x-ct)+g(x+ct)$ (21)

というものがある。これは元の波動方程式に代入すれば、それを満足していることは直ち に理解できる。ここで、$ f(x-ct)$はx軸を正の方向に進む進行波(forward wave)で、 $ g(x+ct)$は負の方向に進む後進波(backward wave)である。

初期条件

$\displaystyle u(x,0)=\phi(x)$ (22)

の波がx軸を正の方向に進む進行波として取り扱うには、どうしたらよいだろうか?。のこ る条件は、

$\displaystyle \frac{\partial u}{\partial t}(x,0)=\psi(x)$ (23)

である。進行波になるように、$ \psi (x)$を決めればよい。$ u(x,t)$を進行波と仮定する と、式(22)から

$\displaystyle u(x,\Delta t)=\phi(x-c\Delta t)$ (24)

となる。この式を使って、$ \psi (x)$を求めることにする。$ \psi (x)$の定義より、

\begin{equation*}\begin{aligned}\psi(x) &=\frac{\partial u}{\partial t}(x,0) &...
...-\phi(x-\Delta x)}{\Delta x} &=-c\frac{d\phi}{dx} \end{aligned}\end{equation*}

となる。進行波にするためには、$ \psi (x)$$ \phi(x)$の導関数ににすればよいのである。

念のため言っておくが、後進波にするためには

$\displaystyle \psi(x)=c\frac{d\phi}{dx}$ (26)

とすればよい。
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年2月18日


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