原理的には、クーロンの法則が静電気学の全てである。過不足なく、この法則
だけで、静電気に関するすべての物理的な現象が説明できる。この法則は、力
と電荷の関係を述べているにすぎない。ここで新しい概念、エネルギーと言う
ものを導入する。これは、力学におけるニュートンの運動の法則
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に加えて、エネルギーの概念を導入することと似ている。古典力学の現象は全
て、ニュートンの運動の法則から説明できるが、エネルギーの概念を導入する
ことで、問題の洞察力を飛躍的に増大できる。エネルギーの概念を全く使わな
いで、古典力学の問題を解くような人はいないであろう。同じように、静電場
にもエネルギーの概念を導入する。
まずはじめに、無限に離れた2つの電荷を、距離の間隔になるよう
に配置する場合の仕事を考える。この系にする仕事は、
力距離である。したがって、電荷を固定して、を無限
遠点から、距離まで近づけるために、外部の何かがする仕事は、
である。外部の何かが、この電荷の配置を作るために、これだけの仕事をした
のである。すると、この2つの電荷の分布は、その仕事の分だけエネルギーを
蓄えるはずである。これは、力学の問題のばねの問題とそっくりである。ばね
の場合は、それが押し縮められたとき、ばねにエネルギーが蓄えられた。この
問題も、両方の電荷の間に仮想的なばねがあり、それが押し縮められたと考え
ても良いのだろうか?。そのように考えても、差し支えは無い。ただ、ここで
はもうちょっと便利な方法を考える。以前、話したように場の考え方に立つこ
とにする。この方が、将来複雑な問題を解く場合、圧倒的に有効である。
静電場のエネルギーを教科書の方法で説明する。これは、コンデンサーを用い
た説明である。電極の面積で間隔のコンデンサーを考える。この場合、
電極の一辺の長さは、電極間に比べて、十分大きいとする。これの両端に、
との電荷があるような状況について、計算する。この場合、コンデン
サーの中の電場
は、ガウスの法則の微分形
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より
2、両辺を積分すると、
となる。コンデンサー内部の電場は、ほぼ一様なので、
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となる。驚いたことに、コンデンサー内部の電場の大きさは、電極間距離
に無関係なのである。コンデンサーの外側では、電場がゼロであることにも留
意して欲しい。
次に、このコンデンサーの負極から、正電荷だけ、正極に移動さ
せた場合を考える。当然このは微小量で、電場の大きさの変化は
小さいとする。この場合、外部の何かが
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の仕事をする必要がある。そうすると、コンデンサーの内部では
のエネルギーが増えたはずである。したがって、もともと、電荷が無い状態か
ら、両方の電極に
と
の電荷が蓄えられた状態になると、そこに蓄積さ
れているエネルギー
は、
となる。これは、密度
でエネル
ギーが存在すると解釈する。
最後の方はかなり、論理が飛躍しているが、結果は正しい。重要なことは、静
電場のエネルギー密度は
である。
- 式(20)がエネルギー密度の次元になっている
ことを確かめよ。
- このエネルギーの式から、コンデンサーの重要な関係式
を求めよ
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年9月28日