1 学習内容

これまでの講義で,アセンブラ命令と機械語命令の学習を終えた.最後に残ったマクロ命 令をここで学習する(教科書 [1]のp.83〜p.86).その前に,CASL IIの命令について,再度,見直しておく.

アセンブラ命令         教科書では,非実行文と書かれているものである.アセンブラーと いう変換プログラムに対して,いろいろな指示を行う命令である.プログラム実行時には, COMET IIのCPUの動作の指示は行う命令ではない.したがって,この命令は機械語に変換 されて特定のビットパターン(1と0の組み合わせ)に変換されることはない.
  START プログラムの先頭を定義
    プログラムの実行開始番地を定義
    他のプログラムで参照する入口名を定義
  END プログラムの終わりを明示
  DC 定数を定義
  DS 領域を確保

ただし,DC命令は,それに引き続く値にビットパターンに変換される. DS命令はビットパターンに変換されないが,必要な領域を確保する.こ の2つは,FORTRANの変数宣言と同じような働きをする.実際のプログラムでは, データの値を定義することに使われる.

機械語命令         COMET IIのCPUに動作の指示を行う.そのため,この命令に対応した論理回路が,CPUの 中に組み込まれている.これら命令は,アセンブラーにより特定のビットパターンの機械 語に変換され,そのパターンに従い,論理回路が動作する.実行時には,そのビットパター ンが主記憶装置に格納されている.
  LD, ST, LAD データの移動
  ADDA, SUBA, ADDL, SUBL 加算・減算演算
  AND, OR, XOR 論理演算
  CPA, CPL 比較演算
  SLA, SRA, SLL, SRL シフト演算
  JPL, JMI, JNZ, JZE, JOV, JUMP 分岐処理
  PUSH, POP スタック操作
  CALL, RET サブルーチンの呼び出しと戻り
  SVC, NOP その他

マクロ命令         マクロ命令とは,特定の機能を果たす,いくつかの機械語命令の集まりに名前を付けたも のである.この名前を指定するだけで,これらの命令の集まりが実行できる.これにより, 頻繁に使われる定形的な命令群をマクロ命令にすることにより,同じようなプログラムを いちいち書くことを省くことができ,便利である.多くの命令から構成されるため,アセ ンブラーにより変換されるビットパターンは非常に多くなる.
  IN 入力装置(キーボード)から,文字データを読み込む
  OUT 出力装置(ディスプレイ)に,文字データを書き込む
  RPUSH 汎用レジスターの内容を,GR1, GR2, $ \cdots$ , GR7の順でスタッ クに格納
  RPOP スタックの内容をGR7, GR6, $ \cdots$ ,GR1の順で汎用レジ スターに格納

ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
2006-02-08


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