1 本日の授業内容

先週までで、ベクトル解析の基礎的な話は終わった。これからは、ベクトル解析を用いて、 電磁気学を教科書に沿って学習する。

ここでは、電荷が固定されており、時間的に変化しない静電場について説明する。原理的 に、静電場の問題は、

で全て解ける。しかし、現実にはこれだけを用いて計算するのは大変である。そこで、い ろいろな計算方法が考え出されたわけである。ここでは、それを学習する。これは、数学 的に計算テクニックを展開しただけではなく、静電場をいろいろな側面から見ることにな り、新たな概念が広がることになる。数学を使うが数学を学ぶのではないことを理解して 欲しい。新たな概念のイメージを大事にすることが重要である。

数学は公理があり、それに従い粛々と論理を展開し、体系を作る。一方自然科学、特には 公理はなく、自然そのものが基本法則になる。数学の公理に当たる物理学の基本法則はま だ分かっていないので、自然科学を学ぶ場合、いろいろな側面から考えなくてはならない。 諸君は、いろいろな側面から考える訓練を受けなくてはならない。

クーロンの法則と重ね合わせの原理を基本法則として、静電場の理論はできる。しかし、こ れから導かれる法則も基本原理となりうる。いろいろな法則がでてくるが、どれも正しく、 優劣が無い。優劣があるとすれば、発見された順序あるいは式の単純さくらいである。静 電場の場合、クーロンの法則と重ね合わせの原理から入るのは、直感的なイメージがつ きやすいからである。それと、最初に発見されたからである。ここでも、クーロンの法則 から出発するが、それから導かれるどの法則にも優劣が無いことを理解しなくてはならな い。実際に問題を解くときには、計算が簡単な法則を使えば良いのである。



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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年6月24日


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