三角関数の計算は厄介なので,指数関数を使った方が便利なことが多い.そこで,複素数
の指数関数を使ったフーリエ級数を考える.そのためには,2回目の講義で述べたオイラー
の公式
が重要な役割を果たす.これから
を直ちに導くことができる.これを,フーリエ級数の式(
7)に代
入すると,
となる.これは,いままでと同一の式である.左辺は実数で,右辺の値も実数となる.右辺に
は虚数部が含まれるが,それはキャンセルされてゼロとなる.ここで,
とする
4.すると,かなり形式的ではあるが,
![$\displaystyle f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_n e^{inx}$](img112.png) |
(25) |
が得られる.これを複素フーリエ級数という.フーリエ係数
![$ c_n$](img113.png)
は,実数のフーリエ級数の係
数を求める式から得ることができる.
![$ c_0$](img114.png)
は次のようする.
![$ c_n$](img118.png)
は次のようにする.
![$ c_{-n}$](img124.png)
も同様である.
よく見ると,係数を計算する3つの式(
27)(
28)(
29)は,
![$\displaystyle c_n=\frac{1}{2\pi}\int_{-\pi}^\pi f(x)e^{-inx}\,\mathrm{d}x \qquad\qquad(n=0,\,\pm 1,\,\pm 2,\,\cdots)$](img130.png) |
(29) |
とまとめることができる.
そして,
と
は複素共役の関係
![$\displaystyle c_n^\ast=c_{-n}$](img133.png) |
(30) |
がある.
![$ c_n$](img134.png)
が計算できれば
![$ c_n$](img135.png)
は直ちに求めることができる.
区間
で定義された関数
の場合,ほとんど同じ議論で,
![$\displaystyle g(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_n e^{i(n\pi x)/L}$](img138.png) |
(31) |
となる.係数は,
![$\displaystyle c_n=\frac{1}{2L}\int_{-L}^L f(x)e^{-i(n\pi x)/L}\,\mathrm{d}x \qquad\qquad(n=0,\,\pm 1,\,\pm 2,\,\cdots)$](img139.png) |
(32) |
と導くことができる.
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まとめ(複素フーリエ級数)
- 区間
で定義された関数 は,複素フーリエ級数で表すことができる.
係数は,つぎのようになる.
- 区間
で定義された関数 は,複素フーリエ級数で表すことができる.
係数は,つぎのようになる.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成18年12月1日