2 Mathematcaのフーリエ変換

マニュアル [2]から、Mathematicaのフーリエ変換の定義を調べる。それ によると、デフォルトの設定の場合の離散フーリエ変換と逆離散フーリエ変換は

$\displaystyle v_s$ $\displaystyle =\frac{1}{\sqrt{n}}\sum_{r=1}^{n}u_re^{2\pi i(r-1)(s-1)/n}$   $\displaystyle 離散フーリエ変換$ (26)
$\displaystyle u_r$ $\displaystyle =\frac{1}{\sqrt{n}}\sum_{s=1}^{n}v_se^{-2\pi i(r-1)(s-1)/n}$   $\displaystyle 逆離散フーリエ変換$ (27)

となっている。ここで、$ v_s$はフーリエ係数、$ u_r$はデータの並び、$ n$はデータ数で ある。

1節で示した離散フーリエ変換は、$ N$個のデータの並び が、 $ 0,\,1,\,2,\,\cdots,\,N-1$のように0から始まっていた。それに対して、 Mathematicaの場合は、$ 1$から始まるっている。Mathematicaのフーリエ変換を調べるた めに、その並びを0から数え始めること

$\displaystyle v_s^\prime$ $\displaystyle =\frac{1}{\sqrt{N}}\sum_{r=0}^{N-1}u_r^\prime e^{2\pi irs/N}$   $\displaystyle 離散フーリエ変換$ (28)
$\displaystyle u_r^\prime$ $\displaystyle =\frac{1}{\sqrt{N}}\sum_{s=0}^{N-1}v_s^\prime e^{-2\pi irs/N}$   $\displaystyle 逆離散フーリエ変換$ (29)

となる。こうなると、式(24)や(25)とほとんど同じ であることが分かる。前節とMathematicaのフーリエ変換で異なる部分は、 である。この違いは、Mathematicaでは基底関数として

$\displaystyle \left\{ \frac{1}{\sqrt{N}},\, \frac{e^{-i\omega t}}{\sqrt{N}},\, ...
...\omega t}}{\sqrt{N}},\, \cdots,\, \frac{e^{-(N-1)i\omega t}}{\sqrt{N}} \right\}$ (30)

としているためでる。本質的な違いはなにもない。

以上をまとめると、Mathematicaの離散フーリエ変換は、次のようになる。

ただし、 $ \omega=\frac{2\pi}{n\Delta t}$である。また、Mathematicaを使って離散フー リエ変換を行う場合、$ \Delta t$ の情報はMathematicaには伝わらないので、ユーザーが それを把握して、周波数に直す必要がある。
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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年6月29日