山本研研究室で私自身(夏井拓也)が作成した電磁場の周期的境界条件進行波共振モード解析コードをつかいAPS空洞の分散曲線を描いてみた.解析した空洞は東大上坂研究室で開発された950keV Linacのセルである.
この分散曲線は等価回路などを使い,ある程度予想することはできるが数値計算で求められたものはあまりない.現在標準的に使われているSUPERFISHを使っても近似的にしか求められないだろう.
以下のような構造を計算した.
このメッシュモデルファイルは以下である.
分散曲線は以下の用になった.共振周波数がもっとも低い2つのモードを計算している.
このグラフを見てわかる通り,位相が180°のところで2つのモードとも9.4GHzになっている. これは,加速モード,結合モードともに運転周波数9.4GHzに調整されているからである. このように加速モード,結合モードの周波数をあわせるこのような条件は合流条件と呼ばれ,群速度が0にならないので実用上非常に重要である.
次に合流条件が満たされていない場合の計算結果について見てみよう。 ここでは、先ほどのメッシュモデルファイルを変更してカップリングキャビティの高さを 0.1mm大きくしたファイルと、0.1mm小さくしたファイルを用意した。
以下はカップリングキャビティが0.1mm大きい場合の分散曲線である。
以下はカップリングキャビティが0.1mm小さい場合の分散曲線である。
どちらの場合も位相180°のところで周波数が一致していないことがわかる. さらに曲線の微分が0になっていることから群速度は0であることも良くわかる. このように合流条件を満たしていない空洞ではAPS空洞の利点はなくなる.
カップリングキャビティが0.1mm大きいメッシュモデルファイルover.modelと0.1mm小さいメッシュモデルファイルunder.modelを載せておく.