前章の方法では最小の固有値しか求められないが,少し工夫するといくつかの固
有値を求められるようになる.
これには,実対称一般化固有値問題の特性を利用する.
すなわち,固有値問題の固有ベクトル
において,
という性質である.つまり,固有ベクトルは行列
をはさんで直
交していると言える.
従って,いくつか小さい順から固有値が分かっていれば,それらと直交するベク
トルをさがすことで次の固有値が得られる.
ベクトル
の直交化は次の式で与えられる.
|
(10) |
が
から
の成分を抜き出したものである.
このように,必要ない成分を抜き出すことができる.
いま,すでに小さい方から固有値がいくつか求められていて,その固有ベクトル
が
だとする.
ここから,次に小さい固有値を求めようとする.この求めるべき固有ベクトルは,
と直交していることが分かる.従って,これらの成分を抜き出しながら共役勾配
法で固有値を求めていけばよい.
その手順を以下に示す.
-
をランダム関数などを使い,適当に決める.
-
を直交化
-
をもとめ,それを直交化
-
とする.
-
を直交化
-
-
-
を直交化
-
をもとめ,それを直交化
-
-
を直交化
- 収束判定をして,収束が十分でなければとして,7に戻る.
ここで,``
を直交化''という表記は,
という操作を表す.(
はすでに求められている固
有ベクトル)
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 夏井拓也
natui takuya
平成17年12月22日