2 標準展開と反転ゲート

NORとNANDゲートのことを反転ゲートという。標準展開と反転ゲートは密接な 関わりがある。それを教科書の例をもって説明する。教科書の例は、

$\displaystyle f=\bar{A}\cdot\bar{B}\cdot\bar{C} +\bar{A}\cdot B \cdot\bar{C} +\bar{A}\cdot B \cdot C +A \cdot B \cdot C$ (1)

である。この論理式の真理値表は、表1の通りである。 元の式が論理和(OR)で各項がくくられているので、論理式の値が1になる組み 合わせが一目で分かる。

表 1: 問題の真理値表
$ A$ $ B$ $ C$ $ f$
0 0 0 1
0 0 1 0
0 1 0 1
0 1 1 1
1 0 0 0
1 0 1 0
1 1 0 0
1 1 1 1

この真理値表から、加法標準展開と乗法標準展開を計算する。後で分かること であるが、こうするとNANDやNORで表現するのが簡単になる。加法標準展開と 乗法標準展開は、カルノー図を使うのが簡単である。加法標準展開の場合、カ ルノー図は1に着目するのが良い。一方、乗法標準展開の場合は、0に着目する べきである。それぞれのカルノー図を図12に示す。

図 1: 1に着目したカルノー図
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/kg_1.eps}
図 2: 0に着目したカルノー図
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/kg_0.eps}

これから、式(1)は、それぞれ

  $\displaystyle f=\bar{A}\cdot\bar{C}+B \cdot C$   加法標準展開 (2)
  $\displaystyle f=(\bar{A}+C)\cdot(B+\bar{C})$   加法標準展開 (3)

となる。

これから、NANDゲートオンリーの式とNORゲートオンリーの式を導く。まずは じめに、NANDゲートオンリーは、加法標準形を使う。これを、以下のように変 形する。

\begin{equation*}\begin{aligned}f&=\bar{\bar{f}}\\ &=\overline{\overline{\bar{A}...
...line{\bar{A}\cdot\bar{C}}\cdot\overline{B \cdot C}} \end{aligned}\end{equation*}

これで、すべての項が $ \overline{x \cdot y}$の形になっているので、NANDゲー トオンリーである。

同じことを、乗法標準形に施す。

\begin{equation*}\begin{aligned}f&=\bar{\bar{f}}\\ &=\overline{\overline{(\bar{A...
...line{\overline{(\bar{A}+C)}+\overline{(B+\bar{C})}} \end{aligned}\end{equation*}

これは、すべての項が $ \overline{x+y}$の形になっているので、NORゲー トオンリーである。

これから分かるように、加法標準形や乗法標準形にすれば、NANDやNORオンリー の論理式に変形するのは簡単である。この変形をここでは、カルノー図を使っ て行ったが、もちろん他の方法でも良い。問題に合わせて、簡単な方法で標準 展開すればよいのである。


ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月20日


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