1 教科書5.13

教科書の問題の表現が間違っています。教科書の表現「$ \bar{A}BC$ $ \bar{A}B\bar{C}$だけが0$ \cdots$」というのは全く間違っています。なぜな らば、$ \bar{A}BC$はこれだけで論理式になっており、論理変数$ (A,B,C)$に従 い値が決まります。たとえば、 $ (0,\,0,\,0)$のときは0になり、(0,0,0)も0、 (0,1,0)は1のようになります。

もし、百歩譲って、教科書の問題の意図していることが

\begin{equation*}\left\{ \begin{aligned}\bar{A}\cdot B \cdot C&=0 \\ \bar{A}\cdot B \cdot \bar{C}&=0 \end{aligned} \right.\end{equation*}

と連立方程式としましょう。そうするとその答えは、$ A=1$または$ B=0$のとき、 0となる論理式となります。これは、

$\displaystyle f=\bar{A}\cdot B$ (2)

です。これは、教科書の答えと矛盾します。したがって、このような連立方程 式ではないことが分かります。

そうすると、答えから類推するしかないのですが、それによると問題の論理は

ということみたいです。

問題にしたがい、まず加法標準形と乗法標準形に直しましょう。乗法標準形は カルノー図を書くまでも無く論理式は分かりますが、とりあえずいつものパター ンで進めましょう。加法標準形は1に着目したカルノー図、乗法標準形は0に着 目したカルノー図を描きます。それぞれ、図1と図 2になります。

カルノー図が描けたので、論理式は簡単です。まず1に着目した加法標準形の 論理式を示し、NANDオンリーの式に変形します。それは、以下の通りです。

\begin{equation*}\begin{aligned}f&=A+\bar{B} \\ &=\overline{\overline{A+\bar{B}}} \\ &=\overline{\bar{A}\cdot B} \end{aligned}\end{equation*}

次に、乗法標準形からNORオンリーの論理式に変形します。これも先ほど同様 に、

\begin{equation*}\begin{aligned}f&=A\cdot\bar{B} \\ &=\overline{\overline{A\cdot\bar{B}}} \\ &=\overline{\bar{A}+B} \end{aligned}\end{equation*}

となります。

図 1: 1に着目したカルノー図
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/kg513_1.eps}
図 2: 0に着目したカルノー図
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/kg513_0.eps}



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月20日


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