すでに学習したように、独立変数が二つ以上の多変数の関数の微分(偏微分)を 含む微分方程式を偏微分方程式(partial differential equation)といいます。 それに対して、一変数の関数の微分を含む方程式を常微分方程式(ordinary differential equation)といいます。ここでは、常微分方程式、特に1 階の場 合の解の近似値を求める方法を学習します。学習する方程式は
ここでの主題は、この微分方程式を満たすを求めることです。計算を進
める前にこの方程式が何を表すか考えましょう。式(1)
の左辺は、解
の導関数です。即ち、解の曲線の接線を表します。導関数
の値が座標
の関数になっているわけです。座標
が決まれば、曲
線の傾きが決まります。
それでは、この常微分微分方程式のイメージをつかんでもらいましょう。それ には、実際の微分方程式を考えてるのが良いでしょう。例えば、
実際の解は、
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(3) |
式(2)の微分方程式から、関数の値を求めるためには
もう一つ条件が必要です。通常この条件は、
のように与えられま
す。これを初期値といい、初期値が与えられるものを初期値問題といいます。
一方、2 点以上のxで定めるyの値が決まっているような問題を境界値問題とい
います。ここでは、もっぱら初期値問題を解くことにします。
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(4) |
式(5)は、次の値は、もとの
にそこでの傾
き
に
の増分
を乗じたものを加えた形になっていま
す。即ち、図3の通りです。この図からも分かるよ
うにこの方法をそのまま適用した場合(オイラー法)、あまり精度がよくありま
せん。出発点のみの導関数を用いているため、終点付近では傾きが異なってい
ます。刻み巾
を小さくすることにより解決は出来ますがその分、計
算時間が必要になります。そのため、
と
の間で、出来るだけ精
度よく、この導関数を計算する工夫がいろいろ考えられています。以降、その
方法を示します。