トランジスターは3本の足(電極)があり、それぞれは「エミッター」と「コレ クター」、「ベース」と呼ばれています。これら3本の足に図のように、電池を接続します。すると、図中の矢印で示すように ベース電流とコレクタ電流が流れます。重要なことは、このベース電流とコレ クタ電流の比です。通常このエミッタ接地と呼ばれる回路だと、コレクタ電流 はベース電流の100倍程度になります。この比は、大体いつも一定です。比が 一定ということは、ベース電流側を入力と、コレクタ電流側を出力と考えると 増幅作用を表しています。
ただし、トランジスターは極性があり、図で示した方向にしか電流が流れませ んので、実際には増幅したい交流信号にバイアスをかけます。この様子を図 2に示します。図から分かるように、信号のほかにバイアス 電流が流れています。
入出力で必要な信号は交流のみなので、実際には図のような回路にします。直流成分は通さないが交流を通すコンデンサー を利用して、入出力から直流成分を取り除きます。このコンデンサーを利用し た回路をRC結合増幅回路といいます。
このトランジスターの発明により、真空管が駆逐されたのです。安価で寿命は
半永久、そして消費電力が少なく、小型とほとんどの面において真空管より優
れています。電話回線の真空管の問題は片付けられました。もうひとつの問題
のリレーも、トランジスターをスイッチに用いることで解決します。ベース電
流をON/OFFすることで、コレクタ電流をON/OFFできます。まさに、スイッチで
す。これで、電話回線の2つの問題が固体増幅素子であるトランジスターで解
決されたことになります。