3 トランジスターの動作

トランジスターは、ショックレーらにより1947年に発明されました。実験のテ キストにその原理が書かれていますが、それよりもどのように動作するか、理 解しましょう。

トランジスターは3本の足(電極)があり、それぞれは「エミッター」と「コレ クター」、「ベース」と呼ばれています。これら3本の足に図[*]のように、電池を接続します。すると、図中の矢印で示すように ベース電流とコレクタ電流が流れます。重要なことは、このベース電流とコレ クタ電流の比です。通常このエミッタ接地と呼ばれる回路だと、コレクタ電流 はベース電流の100倍程度になります。この比は、大体いつも一定です。比が 一定ということは、ベース電流側を入力と、コレクタ電流側を出力と考えると 増幅作用を表しています。

図 1: NPNトランジスターの動作の原理図。エミッタ接地回路。
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/NPN_amp.eps}

ただし、トランジスターは極性があり、図で示した方向にしか電流が流れませ んので、実際には増幅したい交流信号にバイアスをかけます。この様子を図 2に示します。図から分かるように、信号のほかにバイアス 電流が流れています。

図 2: 増幅時のベース電流とコレクタ電流の様子。
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/in_output_signal.eps}

入出力で必要な信号は交流のみなので、実際には図[*]のような回路にします。直流成分は通さないが交流を通すコンデンサー を利用して、入出力から直流成分を取り除きます。このコンデンサーを利用し た回路をRC結合増幅回路といいます。

図 3: RC結合増幅回路
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.9]{figure/RC_amp.eps}

このトランジスターの発明により、真空管が駆逐されたのです。安価で寿命は 半永久、そして消費電力が少なく、小型とほとんどの面において真空管より優 れています。電話回線の真空管の問題は片付けられました。もうひとつの問題 のリレーも、トランジスターをスイッチに用いることで解決します。ベース電 流をON/OFFすることで、コレクタ電流をON/OFFできます。まさに、スイッチで す。これで、電話回線の2つの問題が固体増幅素子であるトランジスターで解 決されたことになります。



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月22日


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