1 本年度、学習することと目標

本年度、3年生の電子計算機では、アセンブラ言語を学習します。アセンブラ 言語にはいろいろありますが、ここでは情報処理技術者試験で使われる「CASL II」というアセンブラ言語を学習します。アセンブラ言語とはどんなものであ るかという疑問が湧くでしょうが、次回の授業で説明します。

1.1 2年生で学習したこと

前年の授業、2年生の「電子計算機」とのかかわりについて、簡単に述べてお きます。2年生と3年生の「電子計算機」を通して、コンピューターの基本的な 仕組みを理解することがこれらの授業の目的です。2年生の「電子計算機」の 授業で学習したことは、大体 のようなことです。ここで、学習したことで最も重要なことは、 ということです。これらの例として、最後に加算の回路を学習しました。皆さ んは、加算にかかわらずどんな論理を示す回路でも設計できます。言い方を変 えると、どんな演算回路でも皆さんは設計できるということです。それも、3 種類の素子(OR, AND, NOT)を使うだけで、可能なのですから驚きです。

1.2 記憶する回路

本日の授業の後半で示しますが、コンピューターは演算と記憶の回路から成り 立っています。記憶の回路(メモリー)については、4年生で学習します。ただ、 簡単に書くと次のような図1のような入出力線があり次 に示す動作をすると思ってください。
図 1: メモリーのモデル
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.8]{figure/memory_model.eps}

この図のアドレスバスとデータバス、WR、RDと書かれた線は、電圧を印加する リード線です。それぞれは、以下の役割があります。これによりデータを記憶 できます。

データバス
データを読み書きする場所を示すための線です。この場 所のことをアドレスといいます。ここでは4本の線が有るので、記憶場 所は16個あります。
アドレスバス
読み書きのときのデータを受け渡すための線です。4本 有るので4ビットのデータの受け渡しが可能です。
WR
メモリーにデータを書くと指令するための線です。
RD
メモリーからデータを読み出すと指令する線です。

この回路の仕組みは皆さんは理解できないと思いますが、動作は理解してくだ さい。動作は簡単なので、このような回路を作ると巨万の富が得られると思う と挑戦したくなるでしょう。今からでは遅いですが、半世紀ほど前であれば大 富豪も夢ではありません。どうやって作るかよりも、なにを作るかの方が重要 ということが分かるでしょう。世界の先端に居る人は、なにを作るべきかとい うことが分かり、そして巨万の富を得るのです。

1.3 コンピューターに必要なもの

これで、コンピューターを作るうえでの基本ハードウェアーが揃いました。演 算と記憶を行う回路です。しかし、これだけでは計算はできません。この状態 は、人間で言うと赤ちゃんみたいなものです。脳はあるが未だ何もできません。 不足しているものは、 です。必要な演算回路とプログラムを作らないと計算ができません。この授業 では、演算回路とプログラムについて、学習します。

この3年生の「電子計算機」の授業を受けると、コンピューターの設計に必要 なことを学習したことになります。今、巷で評判になっている「CPUの創り方」 2と いう本の内容が理解できるはずです。

1.4 この授業を受けて得られるもの

授業の目標は、 です。では実際に得られるものは、 くらいでしょうか。あとは基本情報処理試験のCASL IIの基礎的な勉強になり ます。これを合格するためには、もう少し勉強が必要です。


ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年9月7日


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