1 はじめに

実験やシミュレーションを行っていると $ (x_0,y_0), (x_1,y_1), (x_2,y_2),
(x_3,y_3)$のように、離散的にデータが得られるのは普通のことである。この 得られた値から、任意の$ x$に対して$ y$の値を推測しなくてはならないことが しばしば生じる。工学実験では曲線定規を使って値を推測したが、ここでは計 算機を用いて値を推測することを学習する。

値を計算するためには、$ y=f(x)$を示す関数$ f$を決めればよい。この関数の 決め方には、いろいろな方法がある。計算機応用の講義では、2つの方法を学 習する。

補間法
これは、離散的な点、全てを通過する関数を求め、値を推測す る方法です(図1)。データ数が多くなる と、問題が生じることがあります。
最小2乗法
データをある特定の関数に近似して、値を推測する方法で す(図2)。通常、関数形を決めるパラメーター よりもデータの数が多く、全てのデータを通る曲線が得られるわ けではありません。最も誤差が少なくなるように、関数のパラメー ターを決めます。

図 1: 補間(ラグランジュ補間)
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.6]{figure/lagrange.eps}
図 2: 最小2乗近似(2次関数)
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.6]{figure/square_fit.eps}

今回の講義では、前者の補間法の学習を行います。補間法にもいろいろ有りま すが、ここでは最も基本的なラグランジュ補間とスプライン補間を習得しても らいます。これらを学習した後、最小2乗法について説明をします。

一般的には、補間とは得られたデータの範囲内での値の推定のことを言います。 範囲外の推定は補外と言います2。例えば、図3のように $ (x_0,y_0)$$ (x_3,y_3)$のデータがあり、それらを通る曲線が得られたとし よう。データの範囲$ [x_1,x_3]$の推定を補間、それ以外を補外といる。ただ し、どちらも同じ関数を用います。

補間に比べて、補外の方が近似の精度が悪くなる場合が多いです。このことは、 証券価格のグラフを考えると良く分かります。本日までのデータを補間するこ とはそんなに難しくありませんが、明日以降の価格を推定することは極めて難 しくなります。もし、良い精度で明日以降の価格がわかれば、大金持ちになれ るでしょう。

図 3: 補間と補外
\includegraphics[keepaspectratio,scale=1.0]{figure/hokan_hogai.eps}



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年1月14日


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