5 ガウス・ザイデル法

ヤコビ法の特徴では、 $ \boldsymbol{x}^{(k+1)}$の近似値は、すべてその前の値 $ \boldsymbol{x}^{(k)}$を 使うことにある。大きな行列を扱う場合、全ての $ \boldsymbol{x}^{(k+1)}$ $ \boldsymbol{x}^{(k)}$を記 憶する必要があり、大きなメモリーが必要となり問題が生じる []。今では、個人で大きなメモリーを使い計算することは許されるが、ちょっと前まで はできるだけメモリーを節約したプログラムを書かなくてはならなかった。

そこで、 $ \boldsymbol{x}^{(k+1)}$の各成分の計算が終わると、それを直ちに使うことが考えば、 メモリーは半分で済む。即ち、$ x_i^{k+1}$を計算するときに、

\begin{multline}
x_i^{k+1}=a_{ii}^{-1}\left\{b_i-(
a_{i1}x_1^{(k+1)}+a_{i2}x_2...
...+2}^{(k)}+a_{ii+3}x_{i+3}^{(k)}+\cdots+
a_{in}x_n^{(k)})\right\}
\end{multline}

とするのである。実際の計算では、k+1番目の解は

\begin{equation*}\begin{aligned}&x_1^{(k+1)}=a_{11}^{-1}\left\{b_1-\left( a_{12}...
...)}+\cdots+a_{nn-1}x_{n-1}^{(k+1)}\right)\right\} \\ \end{aligned}\end{equation*}

と計算できる。これが、ガウス・ザイデル法である。

このガウス・ザイデル法は、k番目とk+1番目の解を混ぜて使うという、大胆なことをやっ ているが、研究の結果、収束条件はヤコビ法とほとんど同じと言うことである。ヤコビ法 と比べてどちらが良いかというと

となる。ヤコビ法を使うよりは、ガウス・ザイデル法を使う方が良いであろう。


ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年12月14日


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