先週は教科書の沿って、ガウスの法則を説明した。その骨子は、湧き出しのあ
る水の流れを考えることであった。それは、原点に水の湧き出しがあり、3次
元空間に水が満たされている場合を考えた。ここで、議論する空間は等方的と
仮定するので、立体角
[sr]に等しく湧き出しから流出している。
単位時間あたり質量の湧き出しがある場合を考える。の時間の
湧き出しと、それを含むある閉じた面からの流出量は等しいので、
が成り立つ。ここで、
は水の密度、
は湧き出しを含む任意の閉
じた面での
時間あたりの流出体積、最後はその面での積分である。
この式は、閉じていれば任意の形の面で成り立つのは明らかであろう。これは、
非圧縮性流体の質量保存則に他ならない。この式は、両辺に
があり、
厄介なので、
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(2) |
としておく。
これは、任意の形で成り立つので、湧き出しがある原点を中心とした。半径
の球面を考える。この場合、半径での速度の大きさは全て同じで、その
方向は位置ベクトル
なので積分は容易に実行でき、式
(2)は
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(3) |
となる。これから、速度は
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(4) |
となる。速度はベクトルなので、もう少し丁寧に書くと、
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(5) |
となる。この式は、以前見たクーロンの法則から導かれる電場の式
と全く同じ形をしている。すなわち、距離の逆2乗則である。
同じ形の式は、全く同じ内容を含む。このことは極めて重要で、諸君は生涯忘
れてはならない。したがって、式(2)に対応するクー
ロンの法則は、
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(7) |
となる。クーロンの法則は、教科書の式(1.1)のように書いても良いし、ここ
の式(
6)でも良いし、式(
7)でも良
い。記述の仕方が違うだけで、どれも同じ内容である。全て、電場(力)の大き
さは距離の逆2乗に比例すると言っている。その方向についても、3つの式は同
じ内容である。
次に、微小領域での水の流れ(ベクトル場
)の話をした。微小領域
での流速ベクトル場
と湧き出しの関係について説明した。この微小領域に、
と
いう湧き出しがある。その場合、式(
2)に対応するものは
である。無論、この式は
の極限でのみ正確なのは言
うまでも無い。この式の右辺の微分については、諸君は学習済みで発散
(divergence)と呼ばれる量で、
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(9) |
と書くことができることは知っているだろう。
は微小領域の体積である。単位堆積あたりの湧き出しを
と書くと、
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(10) |
と書き直すことができる。ここで、
は単位体積あたりの湧き出しを示すス
カラー場である。先も言ったように、流体の流れの式とクーロンの法則の式は
同じなので、この式に対応するクーロンの法則もある。それは、
である。
は単位体積あたりの電荷量、すなわち電荷密度でありスカラー
場である。この式も、クーロンの法則である。いろいろとクーロンの法則は書
き方があるが、この書き方が最も簡単で私は好きである。この式が示す物理的
内容はクーロンの法則そのものであるが、この式はガウスの法則と呼ばれてい
る。私は理由は知らない。
式(
11)を体積積分してみよう。左辺は、電荷密度の体積
積分であるから、その中の電荷量の総和
に相当する。したがって、
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(12) |
である。
この式の右辺は、発散の積分である。小さい領域を流量の出入りを足し合わせ
ている。隣り合う領域では、同じ境界面を共有し、その出入りの総和はゼロで
ある。したがって、全体の積分は、その体積の表面での出入りの総和に他なら
ない。式であらわすと、
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(13) |
である。これもおなじみのガウスの発散定理である。
したがって、
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(14) |
となる。実際、いろいろな式が出てきたが、憶えておくべき式は、
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(15) |
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(16) |
の2つである。最初の式は4つあるMaxwellの方程式の一つで、2つめのものはガ
ウスの発散定理である。
式(
8)の求め方に疑問を持つ人がいるであろう。もう少し
一般的にしよう。yz平面での速度ベクトル
の差は
となる。これと同じ事を、zx面とxy面で行い、全ての面を足し合わせれば、式
(
8)と同じ結果が得られる。
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年9月27日