FFT周波数分析装置として使用するFFTハイコーダー(日置電機製)について,その操作方法
を以下に述べる.本実験では,この装置の[LIN]:リニアスペクトラム(Linear Spectrum)
機能を利用する.これは,以下のような解析機能を持っている.
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すなわち,CH1に記憶された波形のスペクトル(振幅情報と位相情報)を明らかにすることができる.
実験は以下の手順で行う.
- OSC (Oscillator) の信号(被測定信号)をCH1に接続する.
- トリガー,時間軸(TIME/DIV),信号レベルを合わせる.このとき,オート・セッ
トで時間軸をあわせたなら,5倍から10倍にセットし直す(つまり遅くする).
- ファンクション・キーをMEMにして,20 DIV長にセットする.
- STARTキーを押してプリントアウトする.
- その波形のスペクトルを見るときには,PRINTとSTOPキーをゆっくり同時に押して,
静かに放す.
- 不要なランプが消えて,"FFT FUNTION START"と記録紙にメッセージがプリントさ
れれる.セレクト・キーによりセレクト・ランプを[LIN]に合わせる.
- STARTキーを押してFFT演算をさせる.このとき,STARTランプが点灯し,演算中で
あることを示す.
- 演算が終わると結果がプリント・アウトされる.PRINTキーを押すと何度でもプリ
ント・アウトされる.
- プリントアウトされたチャートから,ひずみ波交流に含まれる高調波成分の周波数
と振幅を求め,理論値と比較する.理論値は,オシロスコープによる波形観測で
得られる.
- 終わったら,ノーマルモードに戻るためにPRINTキーとSTOPキーをゆっくり同時に
押して,静かに放す.
以上の測定を,以下の波形で行う.
以下のとおり,結果をまとめる.
- 被測定ひずみ波の形状,周波数,およびピーク値などの情報をオシロスコープの
観測により求め,表1のように記録する.
- 表1のデータを基にして,この波形のフーリエ級数展開
を求め,表2に書く.
- FFT解析の出力チャートより,5次までの高調波(基本波の整数倍の周波数)の大き
さを求め,表3に記述する(実測値).ただし,基本波
の大きさ(振幅)は,1とする.
- 先に求めた級数展開より計算値を求め,表3の計算値
項に書く.ここでも基本波の振幅は1とする.
表 1:
被測定ひずみ波の波形から直接得られる情報
波形 |
周波数 |
ピーク値 |
その他 |
正弦波 |
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三角波 |
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矩形波 |
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表 2:
フーリエ級数展開
波形 |
フーリエ級数展開式 |
正弦波 |
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三角波 |
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矩形波 |
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表 3:
高調波の大きさ
波形 |
基本波の |
第n次高調波の大きさ |
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大きさ |
n=2 |
n=3 |
n=4 |
n=5 |
正弦波 |
実測値 |
1 |
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計算値 |
1 |
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三角波 |
実測値 |
1 |
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計算値 |
1 |
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矩形波 |
実測値 |
1 |
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計算値 |
1 |
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ホームページ:
Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年10月21日