Subsections
2次元のラプラス方程式
を数値計で解くことを考える.まずは,いつものように,解
をテイラー展開
する.xおよび,y方向に微小変位
があった場合,
となる.これらの式の辺々を足し合わせえると,
が得られる.このことから,2階の偏導関数の値は微小変位
の場所の関数の値を用いて,
の精度で近似計算ができることが分かる.すなわち,式(
28)
の
を除いた右辺を計算すればよいのである.同じことをy方向についても行うと
が得られる.
これらの式(28)と(29)を元の2次元ラプラス
方程式(25)に代入すれば,
となる.これが,2次元ラプラス方程式の差分の式である.この式を眺めると,座標
のポテンシャルの値
は,周りの値の平均であることがわかる.
実際にこの式を数値計算する場合,計算領域を間隔
で格子状3に区切り,その交点での値を求めることになる.
ここでは,xおよびy方向には等間隔
で区切り計算を進めるが,等間隔である必要はな
い.多少,式(30) は異なるが同じような計算は可能である.これまでの説
明が理解できていれば,xとy方向の間隔が異なっても,式(30)に対応する差
分の式が作れるはずである.
実際,数値計算をする場合,
や
の形は不便なので,形式を改め
る.各格子点でのポテンシャルを
|
(31) |
とする.このようにすると,式(
30)は
となり,数値計算し易い形になる.
ラプラス方程式は式(32)の連立方程式を解くだけである.格子に領域を分
割することにより,難しげな偏微分方程式が連立方程式に還元されたわけである.
連立方程式を解くわけであるが,このままでは,式の数と未知数の数が異なる.格子点で
のポテンシャルの値を求めるためには,境界条件を設定する必要がある.それにより,式
の数と未知数の数が同一になり,格子点でのポテンシャルを求めることができる.
弦の長さが1,そこを伝わる波の速度を1として,弦の横波の様子を数値計算で解くことを
考える.1次元波動方程式を数値計で解くことを考える.計算に移る前に,解くべき方程
式と条件をきちんと書いておく.解くべき方程式と条件は,
となる.弦を伝わる波の速度は1,弦の長さも1としている.この最初の式は波動方程式で
あるが,2番目を初期条件,3番目を境界条件と言う.
波動方程式の他に,初期条件と境界条件がある.力学的状態は,ある時刻,ここでは
の時の変位とその変位の速度が決まれば,それ以降を決めることができる.振動の
場合は,これに加えて更に,振動の境界条件を決める必要がある.これらが決まって初め
て,波動方程式とともに,振動の状態,ある時刻と位置の変位の値が決まるわけである.
図4に初期条件と境界条件の様子を示す.
図 4:
時刻
のときの弦の様子(スナップショット).初期条件と境界
条件が表されており,y方向の速度が
になっている.
|
まずは,波動方程式を差分方程式に書き直すことからはじめる.これも,いつものように,
解
をテイラー展開する.x方向の微小変位を
,時間軸方向の微小変位
を
とする.すると,
|
(34) |
となる.これらの式の辺々を足し合わせえると,
が得られる.このことから,2階の偏導関数の値は微小変位
の場所の関数の
値を用いて,
の精度で近似計算ができることが分かる.すなわち,式(
35)の右辺の第1項を計算すればよいのである.ラプラス
方程式と同じである.同様なことを時間軸方向についても行うと
が得られる.
これらの式(35)と(36)を元の波動
方程式(33)に代入すれば,
となる.これが,1次元波動方程式の差分の式である.この式を計算し易いよ
うに,もう少し変形すると,
とすることができる.この式の右辺は,時刻
と
の値でである.
そして,左辺は時刻
の値である.このことから,式
(
38)を用いると,時刻
と
の値から,
の値が計算できることになる.
実際に式(38)を数値計算する場合,x方向には
,時間
軸方向には
毎に分割する.ラプラス方程式を格子点で分割したのと
同じである.格子点に分割し数値計算する場合,
や
と表現する
よりは,
と表現したほうが便利である.そこで,
|
(39) |
と表現を改める.このようにすると,式(
38)は
となり,数値計算し易い形になる.ただし,
|
(41) |
である.
ホームページ:
Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
2006-02-08