回転を表す行列の性質を調べる。後々の都合を考えて、カーテシアン座標系を
![$ (x, y, z)$](img18.png)
の代わりに
![$ (x_1, x_2, x_3)$](img89.png)
で表すことにする。座標の回転により、座標は
![$ (x_1, x_2, x_3)\rightarrow (x_1^\prime, x_2^\prime, x_3^\prime)$](img90.png)
と、ベクト
ルの成分は
![$ (E_1, E_2, E_3)\rightarrow(E_1^\prime, E_2^\prime, E_3^\prime)$](img91.png)
と変換される。これらの変換は行列を用いて、
と表すことができる。これをいちいち成分で書かずに、
![$ \boldsymbol{x}^\prime=\boldsymbol{A}\boldsymbol{x}$](img94.png)
や
![$ \boldsymbol{E}^\prime=\boldsymbol{A}\boldsymbol{E}$](img27.png)
と書く。
![$ \boldsymbol{A}$](img19.png)
が回転を表す行列である。この行列の性
質を少し考えてみよう。
回転を表す行列の成分
は、
軸と
軸の方向余弦を表している。これ
は、2次元の回転を考えれば簡単に分かる。2次元の回転は、
となる。これと、図
6から、回転を表す行列の成分は軸の方向余弦
であることが分かる。方向余弦はその方向の成分を表すのであるから当然であろう。
これらのことから、
はプライムがつく
軸とプライムが付かない
軸の方向余
弦を表す。従って、
となる。これらの式のうち、前者は式(
22)を表す。後者の式は、
![$ i$](img96.png)
と
![$ j$](img97.png)
を入れ替えると、
![$\displaystyle x_i$](img106.png) |
![$\displaystyle = \sum_{j=1}^3 a_{ji} x_j^\prime$](img107.png) |
(26) |
となる。回転の行列が転置行列になっていることが分かるであろう。すなわち、
![$\displaystyle \begin{bmatrix}x_1 x_2 x_3 \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}a_...
...nd{bmatrix} \begin{bmatrix}x_1^\prime x_2^\prime x_3^\prime \end{bmatrix}$](img108.png) |
(27) |
である。これらのことから、座標軸が回転した場合の座標やベクトルの変換は簡単に表す
ことができる。すなわち、
|
![$\displaystyle \boldsymbol{x}^\prime=\boldsymbol{A}\boldsymbol{x}$](img109.png) |
(28) |
|
![$\displaystyle \boldsymbol{x}=\boldsymbol{A}^T\boldsymbol{x}^\prime$](img110.png) |
(29) |
のようにである。
これらの式を比べると、重要な結果
![$\displaystyle \boldsymbol{A}^{-1}=\boldsymbol{A}^T$](img111.png) |
(30) |
が得られる。
- [練習1]
- 2次元カーテシアン座標系の回転を表す行列の逆行列を求め
よ。
- [練習2]
- その逆行列は、元の行列の転置行列になっていることを示
せ。。
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
yamamoto masashi
平成17年5月14日