先週の講義で学習したように、積分型のガウスの法則は、
である。ここで、
は電荷密度、
は電束密度というベクトル場である。電束
密度は誘電率
を介して電場
と
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(2) |
の関係で結ばれている。誘電率は空間の電気的な性質を決める定数だと思えば良い。この
積分型のガウスの法則では、閉じた空間の表面の電場とその中の電荷の関係を述べており、
近接作用の考え方の式とは言い難い。そこで、この式を利用して、微分型のガウスの法則
を導き出して、完全な近接作用の式に直すことを考える。
ベクトル解析の学習で、任意のベクトル場
で成立するガウスの発散定理
を示した。これを使って、微分形のガウスの法則を導き出すことにする。これを、式
(
1)の左辺適用すると、
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(4) |
となる。これから、積分型のガウスの法則は、
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(5) |
となる。右辺と左辺の積分領域は同じで、この関係は任意の場所で成立している。この積
分の値がいかなる時も、どこでも成立するためには、
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(6) |
でなくてはならない。これが、ガウスの法則の微分形である。これで、完全に近接作用の
式になった。
これまで、3つの方法で電場
を表してきた。
問題に応じて、計算しやすい式を使えば良い。
それでは、いつでもこれらの式は正しいのであろうか?。静電場の問題を考える場合、ど
れも正しい。しかし、電荷が動く場合、式(7)や
(8)は間違いである。これらの式では電荷が変化したことによる、離れ
たところの電場の変化は時間がゼロで伝わる。実験の結果、そのようなことは生じず、光
速でそれが伝わることが知られている。完全な近接作用を表す式(9)の
みが有限の時間で電場の変化を伝えることができ、いつでも正しい結果を与える。ただ、
この式だけで、光速に伝わることを示すには不可能でまだ式が不足している。今後、それ
については、学習する。
教科書の式(2.34)は、怪しそう。特別な場合にしか成り立たない。
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年6月24日