5 電磁誘導

[1]
図のように磁石の間に面積 $ S=1.0\times10^{-2}\mathrm{m}^2$ で、抵抗 $ R=10\Omega$ の長 方形コイルを設置して、その中心軸のまわりを角速度 $ \omega=3\times10^3\mathrm{s}^{-1}$ で回転させる。このとき、コイル内に発生する電 流の強さの最大値はいくらか。なお、磁石の作る磁束密度の強さは $ B=0.5\mathrm{T}$ と する。また、コイル内の誘導電流のつくる磁場による効果は無視してよい。
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/dBdt.eps}


コイルを貫く磁束$ \phi$ は、

$\displaystyle \phi$ $\displaystyle =\int_S B\mathrm{d}S\sin(\omega t+\theta_0)$    
  $\displaystyle =BS\sin(\omega t+\theta_0)$    

と書ける。コイル1周に発生する電圧$ V$ は、

$\displaystyle V$ $\displaystyle =\oint\boldsymbol{E}\mathrm{d}\boldsymbol{\ell}$    
  $\displaystyle =\int_S\nabla\times \boldsymbol{E}\cdot\boldsymbol{n}\mathrm{d}S$    
  $\displaystyle =\int_S\left(- \if 11 \frac{\partial \boldsymbol{B}}{\partial t} \else \frac{\partial^{1} \boldsymbol{B}}{\partial t^{1}}\fi \right)$    
  $\displaystyle =-\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\int_S \phi\mathrm{d}S$    
  $\displaystyle =-\frac{\mathrm{d}\phi}{\mathrm{d}t}$    

となる。フラックス$ \phi$ は、最初に示した式を使う。すると、

$\displaystyle V=-\omega BS\sin(\omega t+\theta_0)$    

と電圧を求めることができる。電流はオームの法則$ V=IR$ より

$\displaystyle I$ $\displaystyle =\frac{V}{R}$    
  $\displaystyle =-\frac{\omega BS\sin(\omega t+\theta_0)}{R}$    

となる。電流の最大値は、 $ \omega BS/R$ となり、それぞれ値を代入すると、 1.5[A]になる。






[2]
図のように幅が$ \ell$ で抵抗が無視できる導線に質量$ m$ 抵抗$ R$ の導線a,b を水平にか けて閉回路をつくる。この閉回路に垂直に一様な静磁場 $ \boldsymbol{B}$ をかけて、導線abを自 由落下させたとき、その終速度を求めよ。なお、このとき導線間の摩擦力と閉回路内の 誘導電流のつくる磁場は無視できるものとする。
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/jiyurakka.eps}

導線a,bが一番上にあるとき$ x=0$ とする座標を選び,下に向かうとそれが増加するように する.すると回路が囲む面積$ S$ は,$ x\ell$ となる.ここを貫く,フラックスは $ \phi=x\ell B$ となる.抵抗は,導線a,bのみなので,その間の電圧は,

$\displaystyle V$ $\displaystyle =-\frac{\mathrm{d}\phi}{\mathrm{d}t}$    
  $\displaystyle =-\ell Bv$    

である.これから,回路に流れる電流は

$\displaystyle I=-\frac{\ell Bv}{R}$ (38)

となる.

この電流が流れることにより,ローレンツ力が発生することになる.ローレンツ力は, $ qvB$ となるが,電荷密度$ \rho$ と導線の断面積$ S$ と長さ$ \ell$ を考えると

$\displaystyle F$ $\displaystyle =qvB$    
  $\displaystyle =\int \rho vB\mathrm{d}V$    
  $\displaystyle =\rho vBS\ell$    
     $ \rho vS=I$ なので    
  $\displaystyle =IB\ell$    

と書くことができる.終速度に達した場合,このローレンツ力と重力による力が釣り合う ので, $ mg+Iv\ell=0$ となる.電流は分かっているので,終速度は,

$\displaystyle v=\frac{Rmg}{B^2\ell^2}$    

となる.
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
2005-11-15


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