組み合わせ回路はブール代数で,表現することができる.それは,数学の理論で公理が決
められており,それを基礎として成り立っている.ブール代数は,
- 2項演算子,と単項演算子が定義されてる.それ
ぞれ加法と乗法,および補元の演算子を示す.
- 使われる変数は,0と1のみである.
の特徴をもっている.0と1だけからなる代数系であり,これはコンピューター内部で取り
扱うデータのビットと同じである.さらに,演算子もコンピューター内部の回路と一致し
ている.そのようなことから,コンピューターに代表される論理回路の記述にブール代数
がよく使われる.
ブール代数の演算は,以下の公理で定義されている.
通常の数の演算と似ているが,異なる部分もある.それは,
- 式(2)の2つある分配法則のうちの一つが,数の計算の分配法
則に無い.
- 補元は逆元に似ていますが,異なる.
である.また,加法と乗法,補元の演算の結果は,必ず元の変数の集合
に含ま
れる.このことをこれらの演算について閉じている
1と言う.
この公理から直ちにに分かる重要な性質がある.それは,加法のと乗法の,
0とをそれぞれ入れ替えても,同じ公理になる.このことから双対の原理
定理 2.1 (双対の原理)
ブール代数では,元の式のと,0と を交換してできる式を元
の式の「双対」(dual)
と呼ぶ.これは,ある定理が成り立つならば,その定理の
双対もまた成立する.
が成り立つ.
ブール代数においては加法と乗法は対等である.しかし,普通には,数の演算同様に乗法
は加法に先立って計算されるので注意が必要である.さらに,括弧を用いて,演算順序の
変更も可能としている.要するに,計算順序は普通の数の演算と同じと考えてよい.その
ため乗法の記号が省略されたり,加法よりも乗法を演算順序を優先することを暗
黙の了解事項として書かれている場合が多い.このようなことは可能で問題は無いが,双
対の原理を考慮すると,加法と乗法の演算順序は対等とし,括弧で演算順序を決めて,さ
らに乗法の記号もちゃんと書いた方が良いであろう.
ブール代数の公理から導かれる重要な諸定理を示す.
これらは,全て公理を用いて証明可能である.すなわち,公理からこれらの定理を導くこ
とができる.
2.3 真理値表とMIL記号
ブール代数の変数の集合は
,演算子は
と
,
である.変数も演算子も少ないので,すべての組み合わせを表にすることは簡単
である.それを表
1から
3に示す.こ
のように,変数の全ての組み合わせを示して,その演算結果を示すものを真理値表と言う.
これら基本演算子の動作をする回路記号(MIL記号)も図
1〜
3に示す.
これら基本演算に加えて,よく使われる論理回路の素子を図4〜
7に,その真理値表を表4〜に示す.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成18年7月3日