1 一階線型常微分方程式

通常,回路の動作は微分方程式で表す.コイルやコンデンサーが同時に回路に含まれない 場合,

$\displaystyle y^\prime+P(x)y=Q(x)$ (1)

のような一階線型同次常微分方程式になることが多い.$ Q(x)=0$の場合を同次, $ Q(x)\ne 0$の場合を非同次と言う.

同次の場合は変数分離形なので,それは簡単に一般解が求められる.この場合,一般解 は

$\displaystyle y=c_1e^{-\int P(x)dx}$ (2)

である.ここで,$ c_1$は任意定数である.

非同次の場合は少し難しくなり,いろいろな方法がある(たとえば, [1] に見よ).ここでは,式(1)の両辺に適当な関数 $ \varphi(x)$を乗じ て,変数分離形にする.そうすると,左辺は $ y^\prime\varphi+P\varphi y$となる.この 左辺が $ (y\varphi)^\prime$となれば,変数分離形となり容易に計算できる.このように 変数分離形になるためには,

$\displaystyle \varphi^\prime=P\varphi$ (3)

であればよい.これはちょうど変数分離形になっており,

$\displaystyle \varphi(x)=e^{\int P(x) dx}$ (4)

である.この関数を元の微分方程式の両辺に乗じることになるので,積分定数は省いてい る.

変数分離形にするために,式(4)を 式(1)の両辺に乗じると

$\displaystyle y^\prime \varphi(x)+\varphi(x) P(x)y=Q(x)\varphi(x)$ (5)

となる.先に示したように $ \varphi(x) P(x)=\varphi^\prime (x)$なので,

$\displaystyle \left[y\varphi(x)\right]^\prime=Q(x)\varphi(x)$ (6)

である.これもまた,変数分離形なので,積分は簡単である.積分の後,整理すると,

$\displaystyle y=\frac{1}{\varphi(x)}\left[\int Q(x)\varphi(x)dx+c_1\right]$ (7)

となる.したがって,元の微分方程式(1)の一般解は

$\displaystyle y=e^{-\int P(x)dx}\left[\int Q(x)e^{\int P(x)dx}dx+c_1\right]$ (8)

である.
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成18年7月3日


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