式(1)は行列とベクトルで書くと,式がすっきりして 考えやすくなる.書き直すと,
ここで,解く問題は行列 が の正方行列で,その行列式がゼロでない ものとする.要するに,普通に解ける連立方程式である.ここで,解くべき問題は,既知 の と から,行列方程式(2)を満た す, を求めることになる.この行列方程式解く過程で, の逆行列や行列 式の値を求めることができる.逆行列や行列式は連立方程式と密接にかかわっているので ある.
通常,連立1次方程式(1)は
行列やベクトルを使うと,格好良いばかりでなくコンピューターで扱いやすくなる.例え ば,行列 の要素はプログラム中では2次元配列a[i][j]として 扱える.同様にベクトルは1次元配列b[k]として扱える.
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次に考えられるのは, の逆行列 を用いて, から計算する方法である.この方法も,計算量と精度の面で 問題がある.が大きい場合,逆行列の計算には多大な時間がかかるからである.
連立1次方程式の計算方法は大別して,2通りある.1つは,ここで学習する消去法で,他 方は反復法と言われる方法である.どちらが良いかは,係数行列 の性質に依存す る.一般に, が密なとき,すなわちほとんどの要素がゼロでないときは,消去法が有 利である.一方,ほとんどの要素がゼロで, が疎のとき,反復法が有利である. 工学の諸問題--とくに偏微分方程式--の場合,ほとんどの要素がゼロとなることが多い.
ここでは消去法を学習するが,反復法について簡単に紹介しておく.まず,係数行列を と変形します.すると,元の連立1次方程式は, となる.これを解くために,漸化式 とする.もし,初期値 が良ければ, は真の解 に収束する.もちろ ん, は容易に計算できる連立1次方程式になるように選ぶ.この選び方により, ヤコビの反復法やガウス・ザイデル法,SOR法などがある.これらの方法については消去 法を学習した後に,学習する.