2次元のラプラス方程式
を数値計で解くことを考える.まずは,いつものように,解
をテイラー展開
する.x方向に微小変位
があった場合,
となる.これらの式の辺々を足し合わせえると,
が得られる.このことから,2階の偏導関数の値は微小変位
の場所の関数の値を用いて,
の精度で近似計算ができることが分かる.すなわち,式(
19)
の
を除いた右辺を計算すればよいのである.同じことをy方向についても行うと
が得られる.
これらの式(19)と(20)を元の2次元ラプラス
方程式(16)に代入すれば,
となる.これが,2次元ラプラス方程式の差分の式である.この式を眺めると,座標
のポテンシャルの値
は,周りの値の平均であることがわかる.
実際にこの式を数値計算する場合,計算領域を間隔で格子状3に区切り,その交点での値を求めることになる.
ここでは,xおよびy方向には等間隔 で区切り計算を進めるが,等間隔である必要はな
い.多少,式(21) は異なるが同じような計算は可能である.これまでの説
明が理解できていれば,xとy方向の間隔が異なっても,式(21)に対応する差
分の式が作れるはずである.
実際,数値計算をする場合,や
の形は不便なので,形式を改め
る.各格子点でのポテンシャルを
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(22) |
とする.このようにすると,式(
21)は
となり,数値計算し易い形になる.
ラプラス方程式は式(23)の連立方程式を解くだけである.格子に領域を分
割することにより,難しげな偏微分方程式が連立方程式に還元されたわけである.
連立方程式を解くわけであるが,このままでは,式の数と未知数の数が異なる.格子点で
のポテンシャルの値を求めるためには,境界条件を設定する必要がある.それにより,式
の数と未知数の数が同一になり,格子点でのポテンシャルを求めることができる.
弦の長さが1,そこを伝わる波の速度を1として,弦の横波の様子を数値計算で解くことを
考える.1次元波動方程式をコンピューターを用いて近似計算するのである.計算に移る
前に,解くべき方程式と条件をきちんと書いておく.解くべき方程式と条件は,
となる.この最初の式は波動方程式,2番目を初期条件,3番目を境界条件と言う.
波動方程式を解くためには,初期条件と境界条件が必要である.ある時刻の位置と速度が
決まれば,それ以降を力学的状態は決まってしまう--ということに対応している.振動
の場合は,これに加えて更に,振動の境界条件を決める必要がある.これらが決まって初
めて,振動の状態--ある時刻の変位と速度--が決まるわけである.図4に
初期条件と境界条件の様子を示す.
図 4:
時刻のときの弦の様子(スナップショット).初期条件と境界
条件が表されており,y方向の速度がになっている.
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まずは,波動方程式を差分方程式に書き直すことからはじめる.これも,いつものように,
解をテイラー展開する.x方向の微小変位を,時間軸方向の微小変位
をとする.すると,
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(25) |
となる.これらの式の辺々を足し合わせえると,
が得られる.このことから,2階の偏導関数の値は微小変位
の場所の関数の
値を用いて,
の精度で近似計算ができることが分かる.すなわち,式(
26)の右辺の第1項を計算すればよいのである.ラプラス
方程式と同じである.同様なことを時間軸方向についても行うと
が得られる.
これらの式(26)と(27)を元の波動
方程式(24)に代入すれば,
となる.これが,1次元波動方程式の差分の式である.この式を計算し易いよ
うに,もう少し変形すると,
とすることができる.この式の右辺は,時刻
と
の値でである.
そして,左辺は時刻
の値である.このことから,式
(
29)を用いると,時刻
と
の値から,
の値が計算できることになる.
実際に式(29)を数値計算する場合,x方向には,時間
軸方向には毎に分割する.ラプラス方程式を格子点で分割したのと
同じである.格子点に分割し数値計算する場合,や
と表現する
よりは,と表現したほうが便利である.そこで,
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(30) |
と表現を改める.このようにすると,式(
29)は
となり,数値計算し易い形になる.ただし,
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(32) |
である.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年2月5日