この辺の議論は,文献 [
1]を参考にしている.というかほとん
ど同じ.この教科書は上級者向きであるが分かりやすい.文献
[
2]物理的なイメージを大事にして分かり易く説明している.
以前の講義では,自由空間の波動方程式の解--ダランベールの解--を示した.それで,
分かったことは波が伝播することであった.この式だけでは,波の原因が分からない.一
般に,波の原因となるソース(源)を含んだ式は,
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(14) |
のように記述される.この解をグリーン関数を使って,
計算する.式(
10)より,グリーン関数が満たすべき微分
方程式は,
となる.この式のイメージを図
3に示す.
図 3:
ソースがある場合のグリーン関数のイメージ.式
(16)を表しており,波は速度で広がる.
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これをいきなり解くのはのは大変である.時刻の微分がある場合の常套手段は,周波数領
域で計算することである.時刻を種は数に直すためにはフーリェ積分(変換)を使う.
時刻
について,グリーン関数とデルタ関数をフーリェ積分で表せば,時間微分の項を
取り除くことができる.まずグリーン関数であるが,
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(19) |
となる.デルタ関数の方はちょっと面倒であるが,
のようにする.これはフーリェ級数を学習した時のおなじみの式である.これら,フーリェ積
分で表現されたグリーン関数とデルタ関数を元の式(
16)に代
入すると
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(21) |
が得られる.これが成り立つためには,
各周波数成分にたいして,
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(22) |
の条件が必要である.これを解き易くするために
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(23) |
と書き直す.つぎに,式(
11)にしめしたようにグリーン関数は
同次微分方程式
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(24) |
を満たさなくてはならない.ここで,式を簡約するために,
を
とおく.する
と,
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(25) |
となり,やっと解けるような気がする式になった.
対称性を考えるとはを中心とした球対称な関数で,距離のみの関数はずである.そこで,
をとおいて,球座標系のラプラシアンを導入すると
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(26) |
となる.この微分方程式の一般解は,
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(27) |
となる.したがって,
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(28) |
となる.積分定数の
と
は後から決める.逆フーリェ積分を使って,周波数領域から
時間領域に直す.
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(29) |
ここで,係数
と
に関する2つの波がある.
の方はソースから外に拡散する波で,
の方は外からソースに向かう波である.2つとも波動方程式の解となりうるが,ここで
問題としているのはソースから拡散する波である.そこで,
とおく.すると,
となる.式(
20)の示すところによると,この式の右辺は
関
数になっている.したがって,
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(31) |
となる.積分定数
は,式
12が成り立つようにきめる.した
がって,
となる.
計算は結構複雑で,わかり難かったと思う.私もわかり難い.straght fowardの計算となっ
ていない.もう少し簡単な方法を考えなくてはならない.計算過程は複雑であったが,そ
の結果は直感的に分かる.直感的に導くこともできるであろう.この式の言っていること
は,次のとおりである.
- 波の振幅は,距離に反比例する.よく知られているように波のエネルギーは振幅
の2乗に比例する.そして3次元の波は距離2乗に比例して表面積が大きくなる.したがっ
て,エネルギーが保存するためには波の振幅は距離に比例しなくてはならない.当たり
前の結果が得られている.
- 関数の部分が言っていることは,波の速度はで伝わる--ということで
ある.観測点で波を観測する時刻を求めてみよ(関数の独立変数がゼロとな
るとき).
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成18年9月24日