3 システムコール

3.0.1 概要

それでは，先ほどの例のプログラム，リスト1とリスト 2の実際の通信方法を確認する．

通信には，さまざまなシステムコールが使われる．通信で使われるシステムコールを表 1を示す．

表 1: 通信に使うシステムコール一覧．参考文献 [2]より，引用

ソケットの作製	socket()
ソケットに名前を付ける	bind()
接続の受付準備	listen()
接続要求	connect()
データ転送	read(), write()
	recv(), send()
	recvfrom(), sendto()
ソケットのクローズ	shutdown, close
その他	ioctl(), socketpair()
	setsockopt(), getsockopt()
	getsockname(), getpeername()

3.1 初期化処理

初期化処理は，ソケットを作製するsocket()システムコール²とbind()システムコールから成っている．

3.1.0.1 socket()システムコール

ソケットと呼ばれる通信ポートを作製する役割があ る．サーバーおよびクライアントで通信を行うための口(ソケット)を作製すると考える． socket()システムコールを使うために必要なヘッダーファイルとそのプロトタイプ宣言を 以下に示す．

socket()システムコール

	#include <sys/socket.h>
	#inlcude <sys/types.h>

	int socket(int domain, int type, int protocol);

戻り値は，ファイルディスクリプターと呼ばれる整数値となる．この整数でソケットを区 別する．引数は3つある．引数の詳細については教科書 []に書いてある³ので，ここでは簡単にのべる．

• 引数domainは，プロトコルファミリーの設定である．普通のインターネット接続 であれば，「PF INET」を設定する．いわゆるIP(internet protocol)である．
• 引数typeは，TCP接続であれば「SOCK_STREAM」とする．
• 引数protocolは，0と指定すればよい．

3.1.0.2 bind()システムコール

ソケットに名前を付ける役割がある．具体的には，受 信ポート番号を指定する．

bind()システムコール

	#include <sys/socket.h>
	#inlcude <sys/types.h>

	int bind(int sock, struct sockaddr *addr, socket_t *addrlen);

3.2 接続受理準備

3.2.0.1 listen()システムコール

ソケットが，接続を待つソケットであることをOSに 伝える．

listen()システムコール

	#include <sys/socket.h>

	int listen(int sock, int backlog);

• 引数sockは，ソケットのファイルディスクリプター．
• blocklogは，受け付けるコネクションの最大数．

3.3 接続要求

3.3.0.1 connect()システムコール

クラインと側がサーバーに対して，接続の要求を出す．

connect()システムコール

	#include <sys/socket.h>
	#inlcude <sys/types.h>

	int connect(int sock, const struct sockaddr *addr, socket_t addrlen);

3.4 接続要求受理

3.4.0.1 accept()システムコール

ソケットに他のプログラム(プロセス)が接続してく るのを待ち，接続が完了したらファイルディスクリプタを戻り値として返す．受信には， このファイルディスクリプターを使う．

accept()システムコール

	#include <sys/socket.h>
	#inlcude <sys/types.h>

	int accept(int sock, struct sockaddr *addr, socket_t *addrlen);

3.5 データの送信

send()システムコール

	#include <sys/types.h>
	#include <sys/socket.h>

	ssize_t send(int s, const void *buf, size_t len, int flags);

3.6 データの受信

3.6.0.1 recv()システムコール

ソケットからメッセージを受け取る役割がある．

recv()システムコール

       #include <sys/types.h>
       #include <sys/socket.h>

       ssize_t recv(int s, void *buf, size_t len, int flags);

3.7 終了処理

3.7.0.1 close()システムコール

ファイルディスクリプターを閉じる．

recv()システムコール

       #include <unistd.h>

       int close(int fd);

引数は，ファイルディスクリプター(整数)である．
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著者: 山本昌志