ガウス・ザイデル法をもっと改善する方法がある.ガウス・ザイデル法の解の修正は, であったが,これをもっと大きなステップにしようというのである.通常 の場合,ガウス・ザイデル法では近似解はいつも同じ側にあり,単調に収束する.そのた め,修正を適当にすれば,もっと早く解に近づく.修正幅を,加速緩和乗数を用 いて, とする事が考えられた.これが,SOR法である.
具体的な計算手順は,次のようにする.ここでは,ガウス・ザイデル法の式 (27)を用いて,得られた近似解を としている.
ここで,問題なのが加速緩和係数の値の選び方である.明らかに,の場 合,ガウス・ザイデル法となりメリットは無い.また,1以下だと,ガウス・ザイデル法 よりも収束が遅い.ただし,ガウス・ザイデル法で収束しないような問題には使える.
従って,1以上の値にしたいわけであるが,余り大きくすると,発散するのは目に見えて
いる.これについては,2を越えると発散することが分かっている.最適値となると,だ
いたい1.9くらいが選ばれることが多い [2].