理論から分かるように,スプライン補間を行うためには以下の2つの計算が必要である.
-4pt
- 各点での2次導関数の値の計算
- 係数を求めて,補間の値の計算
それぞれ,C言語の関数を作成することにする.それぞれの関数の作成方法について,以
下に述べる.
まず最初の関数で,標本点とから,での2次導関数の値を計算する
プログラムである.この関数は,最初に1回呼び出すだけでよく,結果は補間値を計算す
る次の関数に渡す.この2次導関数の値を計算するプログラムは,独立した関数としてモ
ジュール化するのが常套手段である.そのほうが,プログラムが分かりやすくなり,メン
テナンスも容易である.
C言語の関数でこれを実現するための関数のプロトタイプ宣言は,
void spline_cal_u(int n, double x[], double y[], double u[]);
のようにすればよい.nは標本点の最大の番号である.標本点の番号は,0から
始まりnで終わる.配列x[]とy[]に標本のxとy座標の値を入
れる.配列u[]は計算された2次導関数の値が入る.
この関数での処理の内容は,
- 標本点での2次導関数の値が満たす連立方程式を作成する.
- その連立方程式を解く.
である.要するに連立方程式を作り,そして解いているのである.解くべき連立方程式は,
次の通りである.
ただし,とは以下のとおり.
この関数のフローチャートを図1に示す.この関数では,
連立方程式を解く必要がある.この連立方程式は,以下の特徴がある.
- 係数は,3重対角行列である.
- 対角成分は,ゼロにならない.
通常はLU分解,あるいは反復法で解くことになる.しかし,そのプログラムを書くのも面
倒なので,以前作成したピボット選択のないガウス・ジョルダンを使えばよい.連立方程
式により解かれた2次導関数の値は,配列u[]に入れられて呼び出し側に戻る.
連立方程式により計算される2次導関数の値は,
である.両端は自然境界条件で,
とする.こ
この関数では最後にその条件を配列をu[0]=0, u[n]=0とすることで実
現している.
図 1:
2次導関数を求める関数.
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2次導関数の値が分かったので,残りの処理は,その値を利用して任意のの補関値を求
めることである.スプライン補間は,3次の区分多項式で標本点の間を補完するのは今ま
で述べたとおりである.そのためには,標本点の座標と2次導関数の値,即ち
がわかれば計算できる.2次導関数の値は予め,先の関数
spline_cal_u(n, x, y, u)で計算しておくものとする.
スプライン補間の計算に必要な
から,補間点の値を求める関数を作
ろう.C 言語の関数でこれを実現するための関数のプロトタイプ宣言は,
double spline(int n, double x[], double y[], double u[], double xx);
のようにすればよい.この関数の実引数xxに補関値を求めたいを入れるので
ある.そして,この関数の戻り値がでの補間値となる.
この関数の処理の内容は,
- 補間値を求めるが,どの標本点の間にあるか探す.
- 見つかった標本点の場所から,3次関数の係数を計算する.
- 3次関数からの時の値,を計算する.
である.ここで重要なことは,がある区間を探し,3次関数の係数を求めることである.
2次導関数と標本点の値から,それらの係数は
と計算できる.これらの係数から,補間の値は
となる.
この関数のフローチャートを図2に示す.まず初めに,が存在す
る区間を2分探索により探している.これがわかれば,を挟む場所のの値がわ
かる.そうすると,式(4)〜(7)を用いて,3次関数の補間式
の係数の値が計算できる.そして,式(8)から補間値がわかる.
補間したい点が変わる毎にspline(n, x, y, u, xx)を呼び出せばよいわけで
ある.
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年11月28日