5 二分法とニュートンの比較

5.1 解への収束速度

8に,これまでに示した2つの方法の解への近づき具合を 示す.二分法に比べてニュートン法の収束が圧倒的に早いことがわかる.先に示した通り, ニュートン法は二次収束,二分法は一次収束であることがグラフより分かる.二分法は, 10回の計算で, $ 2^{-10}=1/1024$程度になっていることに気づいてほしい.ニュートン法 では,計算回数に応じて $ 10^{-1}\rightarrow 10^{-2}\rightarrow 10^{-4}\rightarrow 10^{-8}$ のように急激に近似解の精度が向上することがグラフからも分かるであろう.
図 8: 計算回数(反復回数)と誤差の関係
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.7]{figure/Graph/speed_comv.eps}

5.2 それぞれの特徴

二分法とニュートン法,非線形方程式の近似解の計算で,どちらが適しているかは問 題に依存する.計算が発散することがないと分かったおり,計算のスピードが要求される 場合にはニュートン法が適している.一方,方程式が複雑で解がよく分からない場合には 二分法が適することも多い.

それぞれの長所/短所を理解して,自分の計算に適する解を探すことが重要である.また, 場合によっては,二分法とニュートン法を組み合わせて使うことを考えても良い.

二分法とニュートン法の長所と短所をまとめると,表1のようにな る.

表 1: 二分法とニュートン法の長所と短所
  長所 短所
ニュートン法 初期値が適当ならば,収束が非常に早い(図8). 初期値が悪いと,収束しないことがある.(図5).収束 しない場合があるので,反復回数の上限を決めておく必要がある.

解を探索する範囲の指定が難しい.

二分法 閉区間$ [a,b]$に解があれば,必ず解に収束する.間違いなく解を探すので,ロバスト (robust:強靭な)な解法と言われている.ニュートン法とは異なり,連続であればどん な形の関数でも解に収束するので信頼性が高いのである.

さらに,解の精度も分かる.解の誤差は,区間の幅$ \vert b-a\vert$以下である.

解の探索の範囲を指定できる.

収束が遅い.




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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年7月18日


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