ここで,求めた自由空間の電磁波のエネルギーについて考えてみる.
まずは,ポインティングベクトルの復習である.ポインティングベクトルはエネルギーの
流れの密度を表した.前回の講義と異なった方法で説明しよう.実際は同じことであるが,
簡単に説明する.ベクトル恒等式とマクスウェルの方程式から,
が得られる.これを任意の領域で体積積分を行う.左辺は,ガウスの定理により表面積分
になるので,
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(57) |
が得られる.ここの左辺の第二項は単位時間あたりの電磁場のエネルギーの変化を表す.
第三項の電流密度
は
となる.
は,粒子が
単位時間あたりに得るエネルギーである.したがって,第二項と三項は体積
中の単位
時間あたりのエネルギーの変化を表す.エネルギー保存則が成り立つとすれば,
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(58) |
は単位時間,単位面積あたりのエネルギーの流れになるはずである.これは,発見者の名
前をとってポインティングベクトルと呼ばれている.
ポインティングベクトルの次元を調べてみると,エネルギー密度の流れになっている.電
場の単位は
,磁場の強さ
の単位は
である.
したがって,ポインティングベクトルの単位は
となり,
と書き改めることができる.たしかに,エネルギー密度の流れ
になっている.
先ほど求めた平面波のエネルギーの流れを考える.平面波のエネルギーの密度は分かって
いる.平面波の速度も光速
と分かっている.したがって,単位時間に単位面積,通過
する平面波のエネルギーがわかる.このようにして計算した結果とポインティングベクト
ルから計算した結果は,教科書の通り,一致する.各自,調べよ.
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年7月26日