Yamamoto's Laboratory
文書作成方法
講義ノート 文書の書き方

文書の書き方分かりやすい文書作成

分かりやすい文書の作成方法を示します.

目次


はじめに

文書を書く意味

ここでは,文書作成の技法を示します.対象とする文書は,レポート(報告書)や論文(卒業,修士,博士),各種の計画書などです.文学作品は対象外です.

文書を作成する目的は,

  1. 読者に情報を伝える.情報の内容は,事実や著者の意見・検討結果などです.
  2. 記録として,情報を残す

です.近年,後者の記録としての役割は薄れています.コンピューターを使った情報処理が進んだからです.情報は電子化され,途方もない量の情報がサーバーに蓄えらています.それも,とても安価にです.加えて,情報を検索する技術が進化しました.これらの情報処理技術の進歩により,情報は文書にまとめなくても記録として残り,探し出せるようになりました.

コンピューターが進歩しても,情報を伝えるという文書の役割は変わりがありません.論理的な情報を人が認識するには文書が最も優れているからです.文書と言っても文字だけではありません.図や表なども含まれます.更に,現代では,HTML の技術を使った動画もあります.と言っても,論理的なことを伝えるには文字が必要です.

かつて,文書の作成は一部のエリートの仕事でした.しかし,社会が進むと文書を作成する人が増えます.現代では,エリートではない一般の人が文書を作成します.その一方で,文書作成ができない人も数多く見受けられます.明らかに能力の差があります.訓練 (教育) さえ受ければ,その能力は誰でも身につきます.しかし,このことに関しての日本の教育の遅れは惨憺たるものです.国が発行する文書でもひどいものが多数あります.憂いているばかりではしょうがないので,文書の書き方の基本的なことを示します.

良い文書とは

良い文書の作成の指針は,第二次大戦中の英国の宰相:ウィンストン・チャーチルが示しています.第二次大戦の初期(1940年頃),ドイツ軍の攻撃により,英国は壊滅の危機が迫っていました.その時,チャーチルは政府各部局の長に次のようなメモを送りました(木下是雄「理科系の作文技術」より).

われわれの職務を遂行するには大量の書類を読まねばならぬ.その書類のほとんどすべてが長すぎる.時間が無駄だし、要点を見つけるのに手間がかかる.

同僚諸兄とその部下の方々に、報告書をもっと短くするようにご配意願いたい.

  1. 報告書は、要点をそれぞれ短い、歯切れのいいパラグラフにまとめて書け。
  2. 複雑な要因の分析にもとづく報告や、統計にもとづく報告では、要因の分析や統計は付録とせよ。
  3. 正式の報告書でなく見出しだけを並べたメモを用意し、必要に応じて口頭でおぎなったほうがいい場合が多い。
  4. 次のような言い方はやめよう:「次の諸点を心に留めておくことも重要である」、「……を実行する可能性も考慮すべきである」。この種のもってまわった言い廻しは埋草にすぎない。省くか、一語で言い切れ。

思い切って、短い、パッと意味の通じる言い方を使え。くだけすぎた言い方でもかまわない。

私のいうように書いた報告書は、一見、官庁用語をならべ立てた文書とくらべて荒っぽいかもしれない。しかし、時間はうんと節約できるし、真の要点だけを簡潔に述べる訓練は考えを明確にするにも役立つ。

参考となる名著

良い文書を書くための参考書は,いくつも出ています.その中で,古典的な名著を以下に示します.

理科系の作文技術 (中公新書 (624))
木下 是雄
中央公論新社
売り上げランキング: 1,041
【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)
本多勝一
朝日新聞出版
売り上げランキング: 2,233

文書の基本

ツリー構造

短いメモ程度の文書は別にして,ある程度の分量があるものはツリー構造にすべきです.ツリー構造にすると,とても文書の流れが分かりやすくなります.図に,その具体例を示します.

図1: 文書(本文)の構造

パラグラフの書き方

ひとつのパラグラフに書かれるテーマはひとつである.

ページ作成情報

参考資料

更新履歴

2018年11月4日 新規作成


no counter