私が携わった加速器では、様々な高電圧機器が使われている。その中でも、図 1のような電子銃の静電場の計算は重要である。そこからでてくる 電子ビームの質が、その電極の設計に大きく依存しているからである。実際には、静電場 のみならず、電子ビームが作る電磁場も考慮して設計される。とはいえ、静電場の計算が 最も重要で、ここではそれを計算するために必要な汎関数を示すことにする。ここでは軸 対称構造の汎関数を示す。それは電子銃の構造が軸対称であるからである。他の対称性が ある場合でもよく似た計算を行えばよい。
電子銃は加速器のみならず、テレビなどのCathode Ray Tube(CRT)にも使われている。CRT の最後部には電子銃があり、そこから細い電子ビームを打ち出し、ブラウン管表面の蛍光 物質に衝突させることにより、点を発光させている。発光させる点を高速に走査すること により、1枚の絵を完成させる。その絵を1秒間に30枚作ることにより、動画にしている。 このような仕組みのCRTにも電子銃が使われており、かなり身近な機器である。