1 はじめに

曲線座標系の勾配と発散、回転の演算については、「座標系と微分演算子」で述べたとお りである。ここでは、その結果を用いて、ラプラス演算子を求めてみる。

マックスウェルの方程式は、電場と磁場の1階の連立微分方程式である。それは、ベクト ル場の発散と回転で記述されている。しかし、実際の問題を解く場合、電場と磁場の両方 を計算するのは面倒である。そのため、電場と磁場を分離して、2階の方程式に直して、 どちらか一方を計算することが多い。その2階の方程式を記述するために、ラプラス演算 子が現れる。

カーテシアン座標系の場合、ラプラス演算子は単純な形をしており、なにも問題はない。 しかし、曲線座標系を使う場合は、少々複雑な形をしている。ここでは、この少々複雑な 形のラプラス演算子を導くことにする。カーテシアン座標系と円柱座標系、極座標系につ いて、演算子の形を求める。

ラプラス演算子は、その作用する対象に応じて、2種類ある。一方は、スカラー量に作用 するスカラーラプラス演算子で、スカラー量に作用して、スカラー量を作る。他方はベク トルラプラス演算子で、ベクトル量に作用し、ベクトルを作る。いずれも、2階の微分演 算子である。



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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成20年3月24日


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