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TM$ _{010}$モードの計算

では,もっとも簡単な計算例として円筒型共振器の計算を行う (円筒型共振器はpillbox cavityともいうらしい). 円筒型共振器の共振モードの解析解はよく知られていて,電磁気学の教科書にも 載っている. 例として,共振器の空洞の寸法は半径1m,幅1mの図1 に示すような空洞を考える.

図 1: 円筒導波管
\includegraphics[width=50mm]{fig/pillbox1.eps}
図 2: TM010モードの電場Eと磁場H
\includegraphics[width=50mm]{fig/pillbox_TM010.eps}

まず,TMモードの中でも,もっと低い共振周波数を持つTM$ _{010}$モードについ て計算してみよう. TM$ _{010}$モードの電磁場は図2 のように分布する. では,まずこれを計算するためのファイルを以下に示す.

Pill Box
$reg kprob=1, dx=2.0, kprob=1,
 xdri=50.0, ydri=99.0,
 nbsup=1, nbslo=0, nbslf=1, nbsrt=1,
 freq=114.0, kmethod=1, beta=1.000000$
$po x=0.0, y=0.0 $
$po x=0.0, y=100.0 $
$po x=100.0, y=100.0 $
$po x=100.0, y=0.0 $
$po x=0.0, y=0.0 $
このファイルを計算した結果は,図3のようになる.赤線が 電気力線である.
図 3: 円筒型共振器TM010モードのSUPERFISH計算結果
\includegraphics[width=120mm]{fig/PILL_BOX00.eps}

では,このファイルの説明をしていく. ちなみにSUPERFISHの長さの単位はcmである. まず,1行目のPill Boxはファイル のタイトルをつけているだけで,好きな名前を付ければよい.2行目から5行目ま ではいろいろとおまじないを書いている.この部分を少し説明すると, dx=2.0の部分はメッシュサイズを決めている. xdri=50.0, ydri=99.0の部分はドライビングポイントといって磁場が最大 になる付近の座標を指定する(ここを変な座標にしてしまうと計算時間が長く なったり,場合によっては正しく計算できなくなる). また,freq=114.0は周波数の近似値をあたえる.これは,ある程度予想し て値を決めるしかない.もちろん真の周波数に近い値を入れると計算時間が短く なる.

さて,6行目からさきは計算する空洞の形状を決めていっている.見てわかるとおり, 座標を指定して,領域を一周しているだけである.このように,座標を指定して いくとその点を直線で結んだ領域を計算できる.



natsui takuya 平成19年5月9日


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