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定積分,
![$\displaystyle S=\int_a^bf(x)dx$](img65.png) |
(14) |
の近似値を数値計算で求めることを考える.積分の計算は面積の計算であるから,図
2のように台形の面積の和で近似ができるであろう.積分の範
囲
![$ [a,b]$](img66.png)
を
![$ N$](img38.png)
等分した台形で近似した面積Tは,
となる.これが数値積分の台形公式である.なんのことはない,積分を台形の面積に置き
換えているだけである.
台形公式の考え方は簡単であるが,精度はあまりよくない.そこで,よく似た考え方で精
度が良いシンプソンの公式を説明する.台形公式は,分割点の値を一次関数(直線)で近似
を行い積分を行った.要するに折れ線近似である.ここで,1次関数ではなく,高次の関
数で近似を行えばより精度が上がることは,直感的に分かる.
2次関数で近似を行うことを考える.2次関数で近似するためには,3点必要である.3つの
分点をそれぞれ,
とする.そして,この2次関数を
と
する.
はラグランジュ補間に他ならないので,
となる.図
3に示すとおりである.
図 3:
元の関数を区間
を2次関数で近似する
|
これを,区間
で積分する.紙面の都合上,式
(16)の右辺を各項毎に積分を行う.まず,右辺第1項で
あるが,それは以下のようになる.
同様に,第2,3項を計算すると
式(16)右辺第2項の積分 |
![$\displaystyle =\frac{4h}{3}f(x_{j+1})$](img77.png) |
(18) |
式(16)右辺第3項の積分 |
![$\displaystyle =\frac{h}{3}f(x_{j+2})$](img78.png) |
(19) |
となる.以上より,近似した2次関数
![$ P(x)$](img70.png)
の範囲
![$ [x_j,\,x_{j+2}]$](img75.png)
の積分は,
となる.
これは,ある区間
の積分で,その巾は
である.区間
にわ
たっての積分
は,式(20)を足し合わせればよい.ただし,
と足し合わせる.
![\begin{align*}\begin{aligned}S&=\frac{h}{3}\left\{f(x_0)+4f(x_1)+f(x_2)\right\} ...
...mm}\left.\cdots+2f(x_{N-2})+4f(x_{N-1})+f(x_N)\right\} \end{aligned}\end{align*}](img84.png) |
(21) |
これが,シンプソンの公式と呼ばれるもので,先ほどの台形公式よりも精度が良い.精度
は,
![$ N^4$](img85.png)
に反比例する.
この式から,分割数
は偶数でなくてはならないことがわかる.
積分の境界が複雑な場合,乱数を使うモンテカルロ積分が適している.例えば,関数
![$ f(x_1,x_2,x_3,\cdot,x_M)$](img86.png)
の体積積分を考える.この体積積分は
となる.ここで,
![$ V$](img88.png)
はM次元体の領域
![$ \Omega$](img89.png)
の体積,
![$ \langle f \rangle$](img90.png)
はその内部
の関数の平均値である.これは3次元体の質量を考えると簡単である.その質量は,密度
の体積積分となる.これは体積に平均密度を乗じた値に等しい.当たり前の式である.こ
のことから,式(
22)の積分の値が欲しければ,体積と平均値が分か
ればよいことになる.
積分を計算するために,まずは体積である.これは体積の計算が容易な単純な形状の内部
に,領域
を包み込み,その内部にランダムに配置されたサンプル点の数を数えれ
ば良いのである.単純な形状内部に配置されたランダムな点の数を
とする.そして,
その内部にある積分領域
に含まれる点の数を
とする.さらに,単純
な形状の体積を
,領域
のそれを
とすると,
![$\displaystyle V_{\Omega}\simeq\frac{N_{\Omega}}{N}V_r$](img94.png) |
(23) |
の関係がある.右辺はコンピューターにより容易に計算できる.ランダムな点の数
![$ N$](img38.png)
が
多くなればなるほど,近似の精度は良くなる.
残りは,体積内部の平均
である.これも簡単で,領域
内部
にあるサンプル点の平均より求めることができる.即ち,
領域
の内部のみ |
(24) |
となる.ここで,
![$ \boldsymbol{r}_i$](img96.png)
は
![$ i$](img97.png)
番目のサンプル点の
![$ (x_1,x_2,x_3,\cdot,x_M)$](img98.png)
座標で
ある.また,
![$ N_{\Omega}$](img91.png)
は領域内部のサンプル数である.この計算も簡単で,コンピューター
は難なく,平均値の近似値を計算することができる.
以上より,モンテカルロ法を用いると,体積
と平均値
の近似値が
計算できることが分かる.従って,式(22)の近似値を求めることが
できる.
ホームページ:
Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
2006-02-08