Yamamoto's Laboratory
 
クラスター

クラスターとは

高性能な特別なコンピューターは非常に高価なものになります.ハードウェアーが特殊になり,その開発費が膨大になります.別なアプローチとして,特別なコンピューターではなく市販の安価なコンピューターを組み合わせて,高性能なコンピューターシステムを実現することが考えられます.これを実現したものが,クラスター (clustar) です.複数のコンピューターをネットワークで接続し,ひとつのコンピューターシステムとして動作させるものです.上手にシステムをつくり上げると,効率的な処理ができます.クラスターを構成するそれぞれのコンピューターをノードと呼びます (図1).

図1: コンピュータークラスターのスキーム

クラスターのハードウェアー

部品

Raspberry Pi のクラスターを作るための部品を表 1 に示します.三代の Raspberry Pi 4B でクラスターを構成します.費用は合計で,35,144円です.

Raspberry Pi のクラスターの部品
品名 型番/仕様他 個数 単価/円 合計/円
コンピューター Raspberry Pi 4 Model B 4GB 3 6,875 20,625
マイクロ SD キングストン 128GB 最大100MB/s 3 1,980 5,940
スイッチングハブ TP-Link 5ポート 10/100/1000Mbps ギガビット 1 1,800 1,800
LAN ケーブル エレコム LANケーブル 0.15m CAT6準拠 3 200 600
電源 ACアダプター 5.1V/3.0A USB Type-C 3 1,430 4,290
アクリルケース クリアケース ヒートシンク二個付き 4段 1 1,889 1,889

組み立て

ソフトウェアー

ソフトウェアーのインストール/設定は,(1) OS, (2) SSH, (3) Kubernetes の順で行います.

OS

OS「Raspberry Pi OS (以前の名前:Raspbian)」のインストールの手順は,以下の通りです.

  1. OSのインストーラー (OS のイメージ) は,Raspberry Pi OS—Raspberry Pi からダウンロードします.インストールに使う PC の OS (Windows, macOS, Ubuntu) に適したものを選択します.
  2. マイクロ SD カードをPCに挿入します.
  3. イメージャーの準備
    1. イメージャーのセットアッププログラム「imager_1.5.exe」をダブルクリックし,インストールを開始します.
    2. イメージャーのセットアップのダイアログが現れるので,[Install] をクリックします().
    3. しばらくすると,イメージャーのセットアップが完了します.「Run Raspberry Pi Imager」がチェックされていることを確認し,[Finish] をクリックします().
  4. OS (RASPBERRY PI OS LITE) のインストール
    1. 「Run Raspberry Pi Imager」がチェックされていると,インストラーが起動します().
    2. Operation System (OS) と SD Card を選択します.OS は,GUI の無いものを選択します.Raspberry Pi OS (Other) > Raspberry Pi OS Lite (32-bit) です.
      OS とメディアの選択
      CHOOSE OS Raspberry Pi OS Lite (32-bit) ()
      CHOOSE SD CARD 用意した SD カードを選択 ()
    3. [WRITE] をクリックすると,SD カードに OS の書き込みが始まります ().
    4. 確認のメッセージが現れます.[YES] をクリックします ().
    5. 書き込みが開始されます.私の場合,書き込みに約 5 分かかりました ().
    6. 「Write Successful」が表示されますので,SDカードを取り出します.そして,[CONTINUE] をクリックします ().
    7. 順次,残りの SD カードにも OS を書き込みます.

SSH

SSH を有効に

OS を書き込んだままの SD カードでは,SSH での接続ができません.そこで,SSH で接続できるようにします.SD カードのブートパーティションに拡張子なしの「ssh」という名前のファイルを作成します ().ファイルの内容は意味はなく,空でOKです.これで,SSH 接続が可能な OS の入った SD カードが完成です.最初に Raspberry Pi を起動すると,ssh ファイルが検索されます.見つかった場合,SSH が有効になり,ファイルは削除されます.

IP アドレスの調査

まずは,IP アドレスを調べる必要があります.SD カードを Raspberry Pi に挿入し,電源を ON します.そして,別のPCからコマンド「ping raspberrypi.local」,あるいは「ping -f raspberrypi.local」を使い,IP アドレスを調べます.

$ ping  -f  raspberrypi.local

raspberrypi.local [192.168.1.100]に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
192.168.1.100 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64
192.168.1.100 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64
192.168.1.100 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64
192.168.1.100 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64

192.168.1.100 の ping 統計:
    パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
    最小 = 0ms、最大 = 0ms、平均 = 0ms

SSH 接続と IP アドレスの固定

IP アドレスが分かったので,SSH で接続します. 接続コマンドは「ssh pi@192.168.1.107」で,パスワードは「raspberry」です.接続後,IP アドレス他の設定を行います.ファイル「/etc/dhcpcd.conf」に,以下を記載します.ファイルを編集するコマンドは,「sudo nano /etc/dhcpcd.conf」です.他のエディターも使えます.

interface eth0
static ip_address=192.168.1.87/24          raspi の IP アドレス
static routers=192.168.1.1                      デフォルトゲートウェイ
static domain_name_servers=8.8.8.8       DNSサーバー

再起動すると IP アドレスは固定になります.

SSH クライアント (PuTTY)

SSH クライアントはいくつかあり,好みのものを使えばよいでしょう.私は PuTTY を使っています.この設定については,PuTTY のページを参考にしてくだい.

その他のアプリケーション

その他,便利なアプリケーションのインストールは,以下のとおりです.

  • emacs のインストールコマンドします.最初に,パッケージ一覧を更新のコマンド「sudo apt update」を実行します.そして,インストールコマンド「sudo apt -y install emacs」を実行します.
  • mathematica は便利なのでインストールします.インストールのコマンド「sudo apt-get update && sudo apt-get install wolfram-engine」を実行します(参考).

ページ作成情報

参考資料

  1. SSH接続に関しては,「SSH (Secure Shell) - Raspberry Pi Documentation」に説明があります.
  2. 参考2の説明

更新履歴

2020年12月30日 ページの新規作成


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