2 主加法標準展開と主乗法標準展開

カルノー図の説明に入る前に、先週の続きで主加法標準展開と主乗法標準展開 について説明しておきます。これは、簡単なので、さらっと説明します。

2.1 主加法標準展開

ある論理式を最小項の和で表すことを、主加法標準展開といいます。最小項と いうのは、全ての論理変数を含み、全てを掛け合わせて1つの項としたもので す(先週の復習)。例えば、論理変数が$ (A,B,C)$と3つある場合、 $ A\cdot B\cdot C$ $ \bar{A}\cdot B \cdot C$等です。論理変数の数を$ N$と した場合、$ 2^N$個の最小項があります。

論理式を主加法標準展開する場合、ブール代数の次の関係式を利用します。

$\displaystyle A=A\cdot(B+\bar{B})$ (1)

例えば、次の論理式は、

\begin{equation*}\begin{aligned}A\cdot B+B\cdot C+\bar{A}\cdot\bar{C}+\bar{B}\cd...
...\bar{B}\cdot\bar{C}+\bar{A}\cdot\bar{B}\cdot\bar{C} \end{aligned}\end{equation*}

のように主加法標準展開できます。簡単でしょう。主加法標準形で表すと、論 理式の値が1になる論理変数の組み合わせが、直ちに分かるので便利です。い ずれかの最小項の値が1になるとき、論理式の値が1になります。

後は各自、練習問題で感触をつかんでください。

2.2 主乗法標準展開

ある論理式を最大項の積で表すことを、主乗法標準展開といいます。最大項と いうのは、全ての論理変数を含み、全てを足し合わせものです。したがって、 最大項の項数は論理変数の数に等しくなります(先週の復習)。例えば、論理変 数が$ (A,B,C)$と3つある場合、$ A+B+C$ $ \bar{A}+B+C$等です。論理変数の数 を$ N$とした場合、$ 2^N$個の最小項があります。

論理式を主乗法標準展開する場合、ブール代数の次の2つの関係式を利用しま す。

  $\displaystyle A+B\cdot C=(A+B)\cdot(A+C)$ (3)
  \begin{align*}\begin{aligned}A+B&=A+B+C\cdot\bar{C}\\ &=(A+B+C)\cdot(A+B+\bar{C}) \end{aligned}\end{align*} (4)

例えば、次の論理式は、

\begin{equation*}\begin{aligned}A\cdot C+\bar{B}\cdot C&=(A+\bar{B})\cdot C\\ &=...
...t (A+B+C)\cdot(\bar{A}+B+C)\cdot(\bar{A}+\bar{B}+C) \end{aligned}\end{equation*}

と主乗法標準展開できます。これも、単純作業の繰り返しで簡単でしょう。主 乗法標準形で表すと、論理式の値が0になる論理変数の組み合わせが、直ちに 分かるので便利です。いずれかの最大項の値が0になるとき、論理式の値が0に なります。

後は各自、練習問題で感触をつかんでください。



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月20日


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