境界条件、境界でのポテンシャルの値を決めることで、方程式と未知数の数が
一致することは前に示したとおりである。したがって、連立方程式を解けば、
格子点のポテンシャルは分かることになる。しかし、実際問題この方程式を作
るのが大変である。未知数のポテンシャルは、分かりやすくするために
と行列で表示したが、実際に連立方程式を解く場合、未知数として
ベクトルになる。この式を書くのは大変厄介である。本当に大変かどうかは、
諸君が実際に、係数行列と同次項を求めてみれば分かる。
そこで、次のお手軽な方法で連立方程式を解くことにする。この方法は、連立
方程式の係数行列や同次項を求める必要がなく、プログラムは非常に簡単にな
る。
- 外周の境界上の格子点のポテンシャルの値をに代入する。こ
の値は、これ以降、ずっと一定とする。
- 電極の内部の格子点のポテンシャルの値をを代入する。この
値も、これ以降、ずっと一定とする。
- 計算すべき内部の格子点のポテンシャルを、
に従い計算する。
- が収束するまで、繰り返し、式
10を計算する。
実際、この方法で無限の回数ループ処理をすれば、真の解に収束するはずであ
る。このように、反復により解に収束させる方法を反復法と言う。とくに、こ
こで示した方法をガウス・ザイデル法という。
ただこの方法は効率が悪く、実用的ではないがプログラムが簡単なので、ここ
では採用する。いろいろな反復法があるので、興味のある人は調べてみるのが
良いだろう。
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月21日