2次元のラプラス方程式を数値計で解くことを考える。まずは、いつものよう
に、解をテイラー展開する。xおよび、y方向に微小変位があっ
た場合、
となる。これらの式の辺々を足し合わせえると、
が得られる。このことから、2階の偏導関数の値は微小変位の場所の関数の
値を用いて、の精度で近似計算ができることが分かる。すなわち、式(
5)の右辺の第1項を計算すればよいのである。同じこと
をy方向についても行うと
が得られる。
これらの式(5)と(6)を元の2次元ラプラス
方程式(2)に代入すれば、
となる。これが、2次元ラプラス方程式の差分の式である。この式を眺めると、
座標のポテンシャルの値は、周りの値の平均であることが
わかる。
実際にこの式を数値計算する場合、例えば図1のポテンシャ
ルを求める時には、図5のように格子状2に区切り、その交点での
値を求めることになる。ここでは、xおよびy方向には等間隔 で区切り計算
を進めるが、等間隔である必要はない。多少、式(7) は異なる
が同じような計算は可能である。これまでの説明が理解できていれば、xとy方
向の間隔が異なっても、式(7)に対応する差分の式が作れるはず
である。
数値計算をする場合、や
の形は不便なので、形式を
改める。図5の左下の座標を(0,0)として、格子点で
のポテンシャルを
とする。このようにすると、式(7)は
となり、数値計算し易い形になる。各格子点の様子を図
5に示す。
次の節で述べる境界条件を考えないとすると、ラプラス方程式は式
(6)の連立方程式を解くだけである。格子に領域を分割するこ
とにより、難しげな偏微分方程式が連立方程式に還元されたわけである。
実際に、連立方程式(6)を計算する場合、困った問題が生じる。
このままだと、式の数と未知数の数が合わないのである。たとえば、図
に示す境界を考える。すると、境界が式
6のになる場合、式が作れないのである。すると、
図5の中の電極が無い場合、可能な連立方程式の数
は、
個である。未知数の数は、
個である。未知数の数の方が、
個多いの
である。そのため、予め、この余分の未知数となっている値を決めなくてはな
らない。実際これは、偏微分方程式の境界条件を決めることに相当する。
そこで、境界上の格子点
個の値を予め決める。こうすれば、式の
数を減らさないで、未知数の数を減らすことができる。要するに偏微分方程式
を解くときの境界条件を決めるのと同じ。
懸命な諸君であれば、予め決める値は外周の境界上の格子点でなくても良いと
考えるだろう。しかし、内部の点の値を決めてしまうと、連立方程式が1個減っ
てしまうので、未知数と式の数の差は変わらない。これについては、良い説明
が思い浮かばなかったので、そういうものだと思ってください。
先ほどの説明通り内部の格子点のポテンシャルを決めてしまうと、その数だけ
方程式が減少します。したがって、必要なだけ内部のポテンシャルを決めても、
式と未知数の数は同じで、連立方程式は解けることになります。したがって、
図5の電極内部の格子点のポテンシャル
は、問題で与えられたとおり、30Vと-20Vと固定にすればよい。
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月21日