現代社会では、コンピューターをはじめ数多くのデジタル回路が使われていま
す。一般家電においてさえ、デジタル回路が使われていないものは無いと言え
ます。デジタル回路は、演算をする回路や記憶する回路から構成されています。
これらの演算や記憶2 の回路は、論
理素子というものを組み合わせて作ることができます。一般に、論理素子を組
み合わせて作られた回路を論理回路と言います。ここでの実験では、その論理
素子の基本的な動作を学習します。
実際の論理素子は、図1のような外観のICの形で販売され
ています。その中身の回路については、いろいろな種類がありその例を図
2に示します。左端にある切り欠きが目印で、半時
計回りでピン番号がふってあります。近頃の電子機器では、このような論理素
子をそのまま使うことはまれですが、皆さんも見たことがあるでしょう。秋葉
原あたりでは、これらのIC は1個あたり数十円で売られています。実際の工業
製品では、それよりもずっと安く仕入れて製品に組み込んでいます。このICを
使って実験する方が良いと思いますが、ここでは実験ボードを使います。
図 2:
論理回路用のICの例。
には電力+5[V]を供給し、GNDは0[V]のグ
ランドに接続する。
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最も基本的な論理素子は、ANDとOR、NOTです。それらを表すMIL論理記号を図
7〜8に、その動作を表
〜3に示します。この3つの回路を組み合わ
せることにより、どんな演算も可能な回路ができます。おのぞみとあらば、ど
んな入出力関係の回路ができます。非常に驚きです。
さらに、記憶回路さえできてしまいます。これは、フリップ-フロップ回路言
われるものです。ただし、ここでは範囲を超えますので、興味のある人は学習
してください。
どんな演算もできて、記憶すらできるのですから、コンピューターが可能とい
うことです。この3個の素子、ANDとORとNOTでコンピューターが作れるのです。
驚きでしょう。コンピューターは非常に複雑な機械ですが、元をただせば非常
に単純な回路の組み合わせです。インテル社の最新のCPUであるPentiumは約
7700万個のトランジスタが使われています。論理素子は、数個のトランジスタ
で可能ですから、そのCPUの中の論理素子の数は大変なものです。
1. OR回路の動作
2. AND回路の動作
3. NOT回路の動作
表 1:
OR回路の動作
入力[V] |
出力[V] |
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0 |
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5 |
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0 |
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5 |
5 |
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表 2:
AND回路の動作
入力[V] |
出力[V] |
 |
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 |
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表 3:
NOT回路の動作
入力[V] |
出力[V] |
 |
 |
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論理回路の設計にはブール代数という数学の手法が使われます。つぎに、少し
だけブール代数について勉強しましょう。
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月22日