これで、ブール代数が定義できました。それにしても、通常の数の演算と似て いますね。しかし、良く見ると少し異なります。
ブール代数には、この公理から直ちにに分かる重要な性質があります。この公 理の加法のと乗法の、0とをそれぞれ入れ替えても、同じ公理 になります。このことから次に示す双対の原理が成り立ちます。これは便利な もので、上手に使うと計算が楽になります。あるいは定理を憶えるのも半分で すみます。
ブール代数においては加法と乗法は対等です。しかし、普通には、数の演算同 様に乗法は加法に先立って計算されます。さらに、括弧を用いて、演算順序の 変更も可能です。要するに、計算順序は普通の数の演算と同じと考えてよいで す。そのため乗法の記号が省略されたり、加法よりも乗法を演算順序 を優先することを暗黙の了解事項として書かれている場合があります。このよ うなことは可能で、試験でも正解とします。しかし、双対の原理を考慮すると、 加法と乗法の演算順序は対等とし、括弧で演算順序を決めて、さらに乗法の記 号もちゃんと書いたほうが考えやすいと思います。
これらの表で示した演算は、全て公理から導くことができます。直接公理から 導けないものは、後で示す定理を使えば簡単に導くことが出来ます。定理も公 理から導いたので、この表の演算の根拠は公理にあります。
これら基本演算に加えて、よく使われる論理回路の素子を図 9〜12に、その真理値表を表 7〜10に示します。
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ここで示した全ての定理を公理を用いて証明することは、紙の無駄なので、2 つだけ例を示します。式(8)と非常に有用なド・モルガンの法則で ある式(11)を証明します。
公理のみを使って、ド・モルガンの法則を証明するには、多くのページが必要 です。そこでこの法則については、真理値表で証明します。公理を用いての証 明に興味ある人は、図書館にあるフィスターの本 [#!Logical_Design_of_digital_computers!#]でも読んでください。