すでに行列の固有値と固有ベクトルについては、学習しているはずであるが、忘れている
者も多いと思うので復習をしておく。ただし、ここでは取り扱いの面倒な行列、例えば複
数の同じ固有値(縮退)を持つような行列などは考えないものとする。
行列
の固有値を、固有ベクトルを
とすると、それらには、次
の関係がある。
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(1) |
つまり、行列
はベクトルを変換するが、それが固有ベクトルの場合、固有値の乗じ
た変換しかしないのである。要するに、行列
には特別の方向
と大きさ
があるのである。
固有値は、式(1)を変形して、
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(2) |
から求める。もちろん、この式から
という解もあるが、これはつまらないので
興味の対象外である。それ以外の有用な解は、
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(3) |
の場合に生じる。この方程式を特性方程式という。
がn次の正方行列であれば、
これはn次方程式になるので、n個の解がある。またそれに応じて、n個の固有ベクトルが
ある。
このようにして、何がうれしいかというと、線形の連立微分方程式を解いたりするときに
この方法は大変役に立つのである。
固有ベクトルを列ベクトルとして、n個並べる行列
を考える。即ち、
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(4) |
である。そして、対角成分に固有値を並べた対角行列
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(5) |
を考える。
これらの行列から、
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(6) |
が直ちに分かる。従って、行列
は、固有ベクトルからなる行列を用いて
と対角化できる。この
をを
の対角化行列と言い、これにより固有値が並
ぶ行列に対角化できる。
この様に行列を変形して、なにがうれしいのか。それは、次に示すように、行列を何回も
乗算するときに計算がうんと楽になるのである。
2.3 行列の乗算
先ほどの式は、
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(8) |
のように書くことができる。次に行列をn回乗算することを、
と書くことにす
る。通常の記号とおなじである。すると、
となる。ここで、
は対角行列なので、その計算は簡単で、
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(10) |
となる。これことは、固有値と固有ベクトルを使ってベクトルを表現すると、そのn乗は
感単に計算できると言っている。
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年12月14日