複素数に進む前に実数のニュートン法の復習を行う。以前配布(7月1日)したプ
リントでは、図によるニュートン法の説明を行い、漸化式を示した。ここでは、
別のアプローチを行う。別のアプローチであるが、その根本精神は同じで、
ということである。
では、異なったアプローチで漸化式を求める。いつものように、の方
程式の解をとする。即ち、
である。そして、番目
の近似解をとする。ここから、だけ移動したところの値は、
となる。もし、
、即ち、
となるよ
うに、
を選ぶことができたら、解の計算は簡単である。この場合、
式(
2)の最後の式から、
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(2) |
となる。したがって、
から、次の近似解は
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(3) |
となる。前回、図により求めた漸化式と同じである。異なる説明であったが、
内容はまったく同じであることを理解して欲しい。
実数とまったく同じ議論が、複素数でも成り立つ。ただし、複素関数で重要な
特異点付近では、この方法は使えない。テイラー級数ではなく、ローラン級数
の
乗よりも小さい項が重要となるからである。実数の場合も、特異点はだ
めなのと同じである。
実数とまったく同じ議論より、方程式
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(4) |
の近似解は、漸化式
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(5) |
より求めることができる。この式の算出は、先ほどの実数の場合と全く同じで
ある。
前回とは異なり、実数の場合の漸化式をグラフを用いないで説明したのは、複
素数に拡張するためである。複素数のグラフは大変である。
FORTRANと違って、C言語では複素数をそのまま扱うことができない。FORTRAN
は複素数をそのまま扱えるのである。これは非常に便利で、いまだに科学技術
計算でFORTRANが現役である大きな理由となっている。一方、C言語の場合、2
つの実数を用いて、複素数を取り扱う。実数部と虚数部である。これは、数学
で学習したように
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(6) |
とすればよい。
と
を用いるわけである。C言語では、構造体で定義する
のが美しいと思われるが、学習していないので、ここではどうでも良い。
同様に関数も
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(7) |
と実数部と虚数部に分けて計算する。
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年9月12日