これについては、取り立てて、説明することは無いだろう。
ベクトル演算子同士の内積をとった結果、
の新しくできる演算子をラプラス演算子(ラプラシアン)と言う。
の
代わりに
と書くこともある。
これは、見て分かるようにスカラー演算子である。スカラー演算子であるため、
スカラーやベクトルに作用することができる。スカラー場に作用すると、
次のようなスカラー場ができる。
ベクトル場
に作用すると、次のようなベクトル場ができる。
以下の計算は、「ファインマン物理学III 電磁気学」の第2章を参考にしてい
る。
ベクトル場の2階微分はいろいろな場面で出くわす。自然科学を学習すると2階
微分に非常に多く出くわす。これは、なぜなのだろうか?不思議である。可能
なベクトル場の2階微分は、
である。
ベクトルの微分演算子は、通常のベクトルの演算と同じように振舞う。
この記号は非常に便利である。したがって、通常のベクトルの演算で0にな
るものを探し、その関係を利用して式(4)〜
(8)の演算で0になるものを類推する。以下のベクトルの演
算が0になることは直ちに分かる。
|
|
(9) |
|
|
(10) |
これらの関係から、
と類推できる。類推ではあるが、これは正しい式である。最後の練習問題でこ
の式が正しいことを確認すること。
次にベクトル公式
を用いた場合を考える。
と
を
で置き換え、
を
とすると、
となる。右辺第2項の
が変である。この問題を避
けるために、少し技巧的であるが、式(
15)を
とすればよい。右辺第2項は、ベクトル
とスカラー
との積であるため、演算の順序を入れ替えても良い。こ
うすると、式(
16)は
となり、正しそうである。事実、これは正しい式である。成分ごとに、きちん
と微分を行えば分かる。
以上で、最初に示した2階の微分のうち、式(5)と
(7)、(8)の公式を導いた。残りは、特に興
味のあるものは無い。そこで、以上の結果をまとめると
となる。
これまでの話をまとめると、ベクトル演算子は通常のベクトルの演算
規則が成り立ち、便利である。諸君は、これを上手に使えばよい。もし、その
公式が気になるようであれば、成分に分けて、こつこつと微分をしてみれば良
い。
先ほど、ベクトル演算子
は通常のベクトル演算と同様に扱えると述べ
たが、注意が必要である。例えば、通常のベクトル公式
|
(23) |
である。
もし、
を
と置き換えると
?????? |
(24) |
となる。ベクトル
の方向は
に関係するし、
も
同様である。したがって、0になるのは特殊な場合である。
これは、次のように考える。最初のはに作用し、つぎのものは
に作用する。したがって、同じでも異なるベクトルと考える。
だからと言って、
が成り立たないというわけでは
ない。この場合、2つのは同じに作用する。
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Yamamoto's laboratory著者:
山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年9月28日