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6 付録

これは重要な話ではあるが,これを講義で述べると寝てしまう(思考が停止する)者が多数 でそうである.興味のある者は,ここの付録をしっかり学習せよ.大学への編入試験問題 では,この程度の問題は出題される.

6.1 ハノイの塔の円盤の移動回数

3に示したように,円盤が3枚の場合,円盤の移動回数は7回であった. 仮に,インドの坊主が1秒間に1枚の円盤を移動させているとすると,わずか7秒で世界の 終わりを迎えることになる.幸いなことに,円盤は64枚あり,もう少し世界の寿命は長そ うである.それでは,世界の寿命はどの程度であろうか?.

$ n$ 枚の時の円盤の移動回数$ f_n$ は、

$\displaystyle f_n=f_{n-1}+1+f_{n-1}$ (8)

となる。リスト3の関数move()を1回呼び出すと、必ず円盤の移動が 一回発生する。加えて、$ n-1$ 枚の呼び出しを2回行っているからである。この式を変形す ると、

$\displaystyle f_{n}+1=2(f_{n-1}+1)$ (9)

となる。これは等比数列なので、一般項は簡単に求められる。$ f_1=1$ なので、

$\displaystyle f_n+1=2\times 2^{n-1}$ (10)

となる。したがって、円盤の移動回数$ f_n$ は、

$\displaystyle f_n=2^n-1$ (11)

と表すことができる。

$ n=64$ のときの,移動回数は18446744073709551615回である.世界の終焉は,

$\displaystyle 18446744073709551615$$\displaystyle =2.13504\times 10^{14}$$\displaystyle =5.89492\times 10^{11}$    

となる.5千8百億年後と言うことである.現在の宇宙の年齢は,およそ150憶年と言われ ていることを考えると,これは長すぎるように感じる.

エドゥアール・リュカも少し間違えたようで,円盤の数を60枚程度にしておけば,世界の 寿命は365臆年となり,いい線をいっているように気がする4.どちらにしても,世界の終わりなんか分から ないから,どうでも良いか.いつか,物理学が進歩して世界の終わりが予想できたならば,イン ドの坊主の仕事と比べてみたいものである.



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
2006-03-23


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