2 コンピューターには何が必要か

2.1 記憶する回路

本日の授業の後半で示すが,コンピューターは演算(CPU)と記憶(メモリー)の回路から成り 立っている.記憶の回路については,4年生で学習することになっている.ただ, 簡単に書くと次のような図1のような入出力線があり,次 に示す動作をすると思えばよい.

図 1: メモリーのモデル(ハードウェアー)
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/memory_model.eps}
図 2: メモリーのモデル(概念)
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/memory.eps}

この図のアドレスバスとデータバス,WR,RDと書かれた線は,電圧を印加する リード線である.それぞれは,以下の役割があり,データを記憶する.

データバス
データを読み書きする場所を示すための線.この場 所のことをアドレスと言う.ここでは4本の線が有るので,記憶場 所は16個ある.
アドレスバス
読み書きのときのデータを受け渡すための線.4本 有るので4ビットのデータの受け渡しが可能である.
WR
メモリーにデータを書くと指令するための線.
RD
メモリーからデータを読み出すと指令する線.

この回路の仕組みは皆さんは理解できないと思うが,動作は理解しなくてはならない.動作は簡単なので,このような回路を作ると巨万の富が得られると思う と挑戦したくなるだろう.今からでは遅いが,半世紀ほど前であれば大 富豪も夢ではない.どうやって作るかよりも,なにを作るかの方が重要 ということが分かるであろう.世界の先端に居る人は,なにを作るべきかとい うことが分かり,そして巨万の富を得るのである.

2.2 コンピューターに必要なもの

これで,コンピューターを作るうえでの基本ハードウェアー,演算とメモリーの回路が揃った.演算の回路はここで示していないが,諸君が2年生の時に学習した組み合わせ回路から構成されるものと考えてよい.しかし,これだけでは計算はできない.この状態は,人間で言うと赤ちゃんみたいなものである.脳はあるが未だなにもできない.不足しているものは, です.必要な演算回路とプログラムを作らないと計算ができない.この講義では,演算回路とプログラムについて,学習することになる.

この3年生の「電子計算機」の講義を受けると,コンピューターの設計に必要 な基礎的なことの全てを学んだことになる.今,巷で評判になっている「CPUの創り方」 2と いう本の内容が理解できるはずである.



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年6月24日


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