3 実験方法

ここでは,実験ボードのCR発振器の特性を測定する.そのために,以下の機材を用意する.

表 1: 発振回路の実験に使う機器
装置 メーカー 型番 仕様 台数
CR発振器実験パネル       1
直流電源 KENWOOD   DC 24[V]以上 1
オシロスコープ KENWOOD CS-5270   1
デジタルマルチメーター YEW Type 2807   2
ファンクションジェネレーター KENWOOD FG-273   1

3.1 基本特性の測定

ここでは,実験回路であるCR発振器の発振周波数を増幅度を測定する.CR発振器の出力と周波数が既知であるファンクションジェネレーターの出力を比較することにより,発振周波数を求める.また,増幅度はトランジスターのベースとエミッタ電圧の測定から求める.実験の手順は,以下のとおりである.

3.1.1 発振周波数の測定

  1. 5に示すように,実験回路の配線を行う. なお,実験パネルには,2つの発振回路が組み込まれている.実験に用いるの は,端子P5とP6を接続したときに発振器として作用する方である.
  2. 直流電源の電圧を24[V]に設定し,CR発振器に印加する.
  3. オシロスコープで発振出力(TB08-TB04間)波形を観測する.
  4. ファンクションジェネレーターから正弦波を出力し,それをオシロスコープのX軸に接続する.そして,オシロスコープをXYモードにして,リサジュー図形から発振周波数を求める.
  5. 結果を表2のようにまとめる.
図 5: 発振周波数の測定回路
\includegraphics[keepaspectratio,scale=0.8]{figure/OSC/exp_setup_freq.eps}

3.1.2 増幅度の測定

  1. 6に示すように,実験回路の配線を行う.
  2. 直流電源の電圧を24[V]に設定し,CR発振器に印加する.
  3. オシロスコープでトランジスタのベースとエミッタ電圧を測定する.ベース電圧が増幅器の入力電圧$ e_i$,エミッタ電圧が出力電圧$ e_o$となる.電圧は,PV(peak to vally)値1とする.
  4. 結果を表2のようにまとめる.
図 6: 増幅度の測定回路
\includegraphics[keepaspectratio,scale=0.8]{figure/OSC/exp_setup_amp.eps}

表 2: 発振周波数と増幅度
  発振周波数 $ \mathrm{[Hz]}$ 入力電圧 出力電圧 増幅度
  実測値 計算値 $ e_i\mathrm{[V]}$ $ e_o\mathrm{[V]}$ $ A_i=e_o/e_i$
$ C=3300\mathrm{[pF]}$          
$ R=10\mathrm{[k\Omega]}$          

3.2 位相差の測定(リサジューの図形を用いる)

実験に用いる回路は,3段の位相回路となっている.各段の位相を測定する.
  1. 実験パネルにの24[V]を印加し,発振させる.
  2. TB08の出力をオシロスコープのX軸に,R18の両端の電圧をY軸に接続し,リサジュー の図形を描かせる.
  3. 7に示すリサジューの図形から,位相差を次式により算 出する.

      実線の場合(右上がり)   $\displaystyle \theta=\arcsin\left(\frac{b}{a}\right)$   (20)
      破線の場合(右下がり)   $\displaystyle \theta=\pi-\left\vert\arcsin\left(\frac{b}{a}\right)\right\vert$   (21)

  4. 同様に,TB08の出力波形とR19の両端の波形の位相差,TB08の出力波形とTR02のベー スの波形の位相差を求め,記録する.
  5. 結果は,表3のようにまとめる.
図 7: リサジュー図形
\includegraphics[keepaspectratio,scale=1.0]{figure/OSC/lissajous.eps}

表 3: 位相差の測定
測定方法 位相差 $ \theta$[deg]
  R18 R19 TR02のベース
リサジュー図形      
時間軸      

3.3 位相差の測定(オシロスコープの時間軸を用いる)

リサジュー図形を用いないで,オシロスコープの時間軸を使って位相測定を行う.前回と 同じところを測定する.
  1. 実験パネルにの24[V]を印加し,発振させる.
  2. TB08の出力をオシロスコープのCH1に,R18の両端の電圧をCH2に接続し,時間軸を 調整して,図8のような波形を観測する.これから,直に位相 差を測定する.
  3. 同様に,TB08の出力波形とR19の両端の波形の位相差,TB08の出力波形とTR02のベー スの波形の位相差を求め,記録する.
  4. 結果は,表3のようにまとめる.
図 8: 時間軸を用いた位相測定
\includegraphics[keepaspectratio,scale=1.0]{figure/OSC/exp_phase.eps}

3.4 入出力特性

発振回路の増幅器の特性を測定する.
  1. 9の通りに接続する.
  2. 実験パネルにの24[V]を印加する..
  3. 外部の発振器(ファンクションジェネレーター)の出力電圧を徐々に増加させ,そ のときのトランジスターのベース電圧(入力電圧:$ e_i$)に対するTB08-TB04間の電 圧(出力電圧:$ e_o$)を読み,記録する.
  4. 結果を表3のようにまとめ,グラフを作成する.
[注意]考察課題で入出力波形の観測についての記述が求められている.注意して,実験を 行うこと.
図 9: 入出力特性の測定
\includegraphics[keepaspectratio,scale=0.8]{figure/OSC/exp_setup_2.eps}

表 4: 増幅率の測定
入力電圧 出力電圧 増幅度
$ e_i$ [V] $ e_o$ [V] $ A_i=e_o/e_i$
     
     
     
     
     
     
     
     


ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年10月21日


no counter